【認知のゆがみ】⑦感情的決めつけ ~感じたこと=事実~
『認知を変えれば人生が変わる』をテーマにお届けする、認知のゆがみ解説シリーズ。
「うつ病のバイブル」とも言われる、デビット・D・バーンズさんの著書「いやな気分よさようなら」に書かれている代表的な10種類のゆがみをご紹介しています。
今回はそのうちのひとつ「感情的決めつけ」について解説します。
認知の歪み10種類
種類 | 内容 |
---|---|
1. 全か無か思考 | 白黒思考、ものごとを極端に考える |
2. 一般化のしすぎ | 「一部」のできごとを切り取って、あたかもそれが「すべて」であるように思い込む |
3. 心のフィルター | ネガティブなことに注目しすぎて世界が全体がどんよりしてしまう |
4. マイナス化思考 | ポジティブな面をねじ曲げてネガティブに捉えてしまう |
5-a. 心の読みすぎ(結論の飛躍) | はっきりとした根拠もないのに、相手の心を深読みして、勝手に傷ついたり怒ったりしてしまう |
5-b. 先読みの誤り(結論の飛躍) | 未来のことを読み間違えて決めつける |
6. 拡大解釈と過小評価 | ものごとや人物をありのままの大きさで捉えることができず勝手に拡大&縮小してしまう |
7. 感情的決めつけ | 自分が感じたことをあたかも事実を裏付ける証拠のように思い込む |
8. すべき思考 | 何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかにこだわる |
9. レッテル貼り | 自分や他者にペタペタとネガティブなタグ付けをする |
10. 個人化 | 自分に関係ないことまで、なんでもかんでも「わたしのせい」と思い込む |
感情的決めつけ
自分が感じたことをあたかも事実を裏付ける証拠のように思い込んで、決めつけてしまう思考パターンです。
誰かや何かに対してネガティブな感情を抱くと、客観的な視点で見られなくなってしまいます。
感情的決めつけの例
「感情的決めつけ」のゆがみを持つ人は、こんな風に考えがちです。
- (不安を感じると、)失敗するにちがいない。
- (嫌悪感を感じると、)あの人は悪い人にちがいない。
- (自己嫌悪を感じると、)自分なんていない方がいい。
客観的な事実と自分の感情の区別がつかず、自分が感じたことがそうであるにちがいないという思い込みになります。
自分がそう感じたからといって、それが必ず事実であるとは限らないことに気づけないのです。
感情的決めつけの人が持ちたいフラットな視点(適応的思考)
「感情的決めつけ」のゆがみを持つ人は、以下のようなフラットな視点を持てるようになると、生きづらさが改善されていきます。
- 感情と事実は別物である。
- そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
- 自分が感じたことがすべてではない。
- 意外な結果になることもある。
フラットな視点に導く自身への問いかけ
「感情的決めつけ」のゆがみを持つ人がフラットな視点を導き出すためには、自分に対して以下のような問いかけをしてみます。
- このことの客観的事実はなんだろうか?
- 感情で決めつけていないだろうか?
- 他の人でも同じように思うだろうか?
無意識のうちに感情的決めつけをしていないか立ち止まって考えてみましょう。
ネガティブ思考が浮かんだときに、客観的事実と自分の感情を分けて考え、冷静にものごとを捉えなおしてみると、自分が思っているほど悪い事態ではないことに気づくかもしれません。
認知がゆがんだのにはわけがある
認知のゆがみの意味を解説したこちらの記事にも書きましたが、あなたが「感情的決めつけ」の思考パターンを持つようになってしまったのは、あなたのせいではありません。
▶参考記事:『認知のゆがみ』を治せば生きづらさは手放せる
幼少期から好ましくない経験を重ねたり知識を仕入れたりしてきたからで、周りのおとなの言動が色濃く反映された結果です。
子どもの頃に悲しい思いや怖い思いをしたときに、その感情にしっかりと寄り添って癒してもらうことをしそびれていると、潜在意識の中に未消化の感情をため込んでしまいます。(抑圧)
抑圧した感情の蓄積が認知のゆがみを作り出し、おなじようなできごとに遭遇するたびに「感情的決めつけ」の思考パターンを繰り返すようになるのです。
それはあなたの潜在意識(無意識の領域)に深く根付いていきますので、ただフラットな視点を意識しただけで改善するのは非常に困難です。
こびりついてしまった認知のゆがみを修正するには、単にフラットな視点を意識するだけではなく、潜在意識に住むインナーチャイルドの癒しが必要です。
認知がゆがむ原因となった幼少期の心の傷を癒す(インナーチャイルドケアをする)ことで、その思考が必要のないものであると腹落ちさせていくことが大切です。
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