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過保護と過干渉、なにがちがって、どうダメなの?

  
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過保護と過干渉、なにがちがって、どうダメなの?

過保護と過干渉には、いったいどんなちがいがあるのでしょうか?
過保護に育てられた人と、過干渉に育てられた人では、おとなになってからの性格に何かちがいが出るのでしょうか?

過保護・過干渉でもアダルトチルドレンになる

わたしのお客さまの中には、
「幼少期のトラウマには心当たりがなく、どちらかという過保護・過干渉に育てられたように思うのですが、アダルトチルドレンの特徴にピッタリあてはまっていて、とても生きづらいんです。」
と訴える方が非常に多いです。

そんな方に聞かれるのは、「過保護・過干渉でもアダルトチルドレンになるんでしょうか?」ということ。

答えはYESです。

いわゆる機能不全家族のようなわかりやすい問題を抱えていなくても、過保護・過干渉といったよくある親の不適切な関りによってアダルトチルドレンになり、生きづらさを抱える人はたくさんいます。(むしろそちらの方が多数です。)

このことについて詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
「普通」が危ない!機能不全家族と隠れ機能不全家族

この記事では、そんな親の不適切な関わりに含まれる、過保護・過干渉について詳しく解説していきたいと思います。

過保護は良くて、過干渉はダメ?

先日あるお客さまから、
「『過保護は良くて、過干渉はダメ』という話を聞いたことがあるのですが、どのようにボーダーを引けばいいのでしょうか?」
とご質問をいただきました。

たしかにググってみると、そのように言っている記事がいくつか見つかりました。

それぞれ書かれている方のニュアンスのちがいがあるので、何が正しくて何が間違っているというのは難しいのですが、現時点でのわたしの考えでは、過保護であれ、過干渉であれ、「過」がついているということは、「多すぎる」ということだから、適切とは言えないのではないかなと思っています。

「過食」「過眠」「過集中」「薬物過剰摂取」どれも、適量であれば差し支えない幅をオーバーしてるから問題が生じるわけですよね。「過保護」も「過干渉」も適切な保護や干渉を越えているから問題になるのだと思います。

よって、過保護だから良くて過干渉だからダメ、ということではないように思います。

過保護・過干渉とは?

ここから、わたしの考える、過保護・過干渉について解説します。

過保護とは?

過保護とは、読んだまま「過剰に保護すること」です。
保護自体の意味は「かばい守ること」です。

つまり、「その子(年齢・特性など)に合った度合いを越えて、必要以上に守りすぎること」が過保護だと考えます。

自分でできることまでなんでも親が代わりにやってあげるとか、失敗しないようにあれこれお膳立てしてあげるとかですね。

具体的な例としては、

  • 着替えや持ちものをぜんぶ用意してあげる
  • 忘れ物に気づいたら即届けてあげる
  • 自分で通える範囲でも、毎日送迎する
  • 宿題や課題を親がやってあげる
  • 少しでも危険があることには挑戦させない
  • 子どもが傷つかないように、園や学校に過度な配慮を頼む など

もちろん、これをしたらすぐに「過保護」というわけではなく、いろんな事情があると思います。
その子の年齢や特性や状態を加味して、「過剰ではないか」ということを考えてみてください。

過干渉とは?

過干渉とは、言葉そのまま「過剰に干渉すること」です。
干渉自体の意味は「他人のことに立ち入り、自分の意志に従わせようとすること」です。

つまり、「子どもの領域に立ち入って、自分の思うとおりにコントロールしようとすること」が過干渉だと考えます。

子どもの気持ちを無視して、あれこれ指示を出したり、親の思い通りに支配してしまうようなことですね。

具体的な例としては、

  • 習い事や塾などを強制する
  • 進路を勝手に決める
  • 服装や交友関係に口出しする
  • スマホの中身をチェックする
  • GPSで逐一居場所を見張る
  • 門限や就寝時間を厳しく管理する など

こちらも、これをしたらすぐに「過干渉」というわけではなく、いろんな事情があると思います。
その子の年齢や特性や状態を加味して、「過剰ではないか」ということを考えてみてください。

過保護と過干渉のちがい

わたしは、過保護と過干渉をそれぞれ上記のように考えています。

ちがいを平たく言えば、「頼まれてもないのにやってあげる」が過保護で、「子どもの気持ちを無視してやらせる(やらせない)」のが過干渉という感じです。

過保護な親は、良かれと思って子どもが自分でできることも先回りしてやってしまい、子どもの成長の機会を奪ってしまう傾向があります。

一方で、過干渉な親は、子どもを自分の所有物のように考え、子どもの気持ちを尊重するよりも、自分の思い通りに動かそうとする傾向があります。

過保護になるか過干渉になるかは、親子の性格、親の持っている観念(思考パターン)のちがいによるものだと思われます。

ただし、それぞれのボーダーはとても曖昧で、過保護でもあり過干渉でもあるようなパターンもいくつも存在すると思います。

厳密に線を引くことを考えるよりも、「過剰ではないか」ということを見るようにした方が良いでしょう。

過保護・過干渉な親の特徴

続いて、過保護・過干渉な親の特徴をもう少し詳しく示しておきます。
(わたしのクライアントさんの事例を基にしています。)

過保護な親の特徴

  • 心配性で、まだ起こってもいないことをあれこれ想像してしまう。
  • 子どもを無力な存在だから、外敵から守ってあげなければと思っている。
  • 自分自身も過保護に育てられたか、逆にあまり守ってもらえなかった。
  • 親自身の交友関係が希薄で、子どもに依存している。

「事故に遭うんじゃないか」「誘拐されるんじゃないか」「災害が起きるんじゃないか」など、常に先のことを心配しているようなタイプの人が多い印象です。

子どもが無力で弱い存在だと考えるため、痛い目に遭ったり怖い目に遭ったりすることを極端に恐れ、想定されるすべての危険から守ってあげなくてはと思っています。

そのため、子どもの成長度合いにそぐわないような過度な保護をしてしまい、子どもが自分でやる経験の機会を奪ってしまう傾向が見られます。

この背景には、その親御さんの幼少期に、自身が同じように過保護に育てられていたり、逆にあまり守ってもらえず怖い思いをたくさんしてきたというようなことがあります。

その結果、世間に対する恐れが強くなり、弱い子どもは親が守らなければ、恐ろしい思いをして心が傷ついてしまうと考えるようになり、過剰に先回りしてしまうことになります。

また、過保護な親の多くは、自身の交友関係が希薄で、「子どもがすべて」になっていたりします。

この場合、無意識で「子どもを失ってしまえば自分の人生が損なわれる」と思っているため、子どもが傷つくようなことは、何が何でも避けたいと思ってしまうようです。

過干渉な親の特徴

  • 固定観念が強く、世間体を過度に気にする。
  • 子どもは未熟で何もわかっていないから、正しく導いてあげなければという考え。
  • 自分の親との厳しい上下関係をトレースする。(主従関係)
  • 子どもを自分の所有物のように考え、ひとりの人間として尊重しない。

過干渉な親に多く見られる特徴は、「他人の目を過度に気にする」ことです。

他者の目を気にするがゆえ、自分の子どもが世間から良く見えるようにコントロールしたくなる傾向があります。
心の中で子どもを自分の所有物のように考えているようなところがあり、子どもの言動が自分の評価に直結するという感覚を持っていたりします。

子どもが優秀であいさつなどをしっかりできれば、自分がきちんとした親だという証。
逆に子どもが勉強が苦手でルールやマナーを守れないような子であれば、自分がダメな親だという証。

世間から、自分がダメな親だと思われないように、必死になって子どもをコントロールしようとしてしまうのです。

また、子どもとの関係が上下関係(主従関係)になっており、「子は親を敬い従うべき」などの観念を持っていることも多いです。

「あなたのためを思って」「あなたにはまだわからないだろうけど」などの言葉を使って、子どもを支配下に置き、自分の思い通りにコントロールする傾向があります。

この背景には、親御さんのご両親(もしくはどちらか)が同じような価値観(子は親を敬い従うべき)を持っていて、それをそのままトレースしているケースが非常に多いです。
(稀ですが、逆にまったく導いてもらえなかったというケースもあります。)

過保護・過干渉な親に育てられた人

過保護・過干渉な親に育てられた人は、おとなになってから人間関係において、さまざまな困難に直面します。

過保護な親に育てられた人の特徴

過保護な親に育てられた人がおとなになるとこんな問題を抱えやすいです。(一例です。)

  • 自分に自信がなく、恐れが強い。
  • 自分で決めることができず、依存的。
  • 守ってくれる人を求める。
  • 困難なこと、未知のことから逃げようとする。
  • 「自分にはどうせ無理」とあきらめてしまうことが多い。

過保護な親に育てられた人をひとことで言い表すならば、「無力感の人」

なにかにつけて、「自分にはできない」という思いが強く、諦めも早い。
自分で決めることへの恐れが強く、誰かに頼りたい守ってもらいたいという依存心が強い。
おとなになってもどこか頼りなく、子どもっぽい印象を与えてしまうことも。

そのため、仕事をしていてもなかなか認めてもらえなかったり、新たなチャレンジをしようとしないで、成長しそびれてしまうこともあります。

また、自分が子育てするときには、自分の親と同じように子どもに対して過保護になり過ぎたり、逆に過保護にならないように意識しすぎて放任になったりします。

過干渉な親に育てられた人の特徴

一方で、過干渉な親に育てられた人がおとなになるとこんな問題を抱えやすいです。(一例です。)

  • 他人の目を過度に気にする。
  • 他者の評価・アドバイスに敏感。(特に目上の人との関係がこじれやすい。)
  • 尊重してくれる人を求める。
  • 比較グセがある。
  • 「誰もわかってくれない」という思いが強い。

過保護な親に育てられた人をひとことで言い表すならば、「無価値感の人」

自分の存在に価値を感じられず、周りから軽んじられているような気持ちに苛まれる。
他の人がほめられていると落ち込んだり、なにをやっても否定されるように感じてしまったりする。
褒めてくれる人に対しては強い執着をすることも。

そのため、人との適切な距離感を取ることが難しく、早々に壁を作ってしまったり、わかってくれそうな人を見つけて依存しすぎてしまったりという問題を抱えがちです。

また、自分が子育てするときには、自分の親と同じように子どもに対して過干渉になり過ぎたり、逆に干渉しないように意識しすぎて無関心になったりします。

過保護・過干渉に育った人の障壁

このように、過保護・過干渉な親に育てられおとなになると、さまざまなトラブルに直面してしまうので、ぜひ、インナーチャイルドケアなどの手段を使って、幼少期に負った心の傷の癒しを進めてほしいのですが、いわゆる機能不全家族育ちの人ように、幼少期の家庭環境に明らかな問題を抱えていないがゆえ、かえって克服までに時間がかかるケースがあります。

その理由についてわたしは、「問題の根本が幼少期にあることに気づきにくいこと」「気づいても向き合いにくいこと」があげられると考えます。

問題の根本が幼少期にあることに気づきにくいこと

過保護・過干渉な親は、一見すると「子育て熱心ないい親」「常識的で教育熱心な親」に見えるので、自分も周りも子育てに問題があるということに考えが及びにくい傾向があります。

過保護・過干渉の親ほど、自分の子育てを「それなりによくやった」「大変な中がんばった」と自己評価していることが多いし、過保護・過干渉な親に育てられた子ほど、「親は大変な中、わたしを一生懸命育ててくれた」と感謝していたりします。

そのため、冒頭で書いた
「幼少期のトラウマには心当たりがなく、どちらかという過保護・過干渉に育てられたように思うのですが、アダルトチルドレンの特徴にピッタリあてはまっていて、とても生きづらいんです。」
という事態になるわけです。

たとえ目に見えるような虐待やネグレクトが無くても、自分のありのままの姿を無条件で愛してもらえず、過度に保護されたり、過度に干渉されたりすれば、あなたのインナーチャイルドは傷ついていますし、癒しを必要としているはずです。
でも、幼少期に目に見える問題が見当たらないと、なかなか今の問題とリンクしづらく、インナーチャイルドケアが必要であることがピンときにくいようです。

気づいても向き合いにくいこと

そして、もうひとつの「向き合いにくいこと」については、おとなになってからの親子関係がそこまで悪くないケースで多発します。

これだけ情報が手に入りやすい時代ですから、いろいろな本やSNSを目にしていれば「どうやらわたしも幼少期の過保護・過干渉の影響を受けているかもしれない」ということに、自力で気づく方は多いはずです。
でも、今親御さんとの関係がそこまで深刻でない場合、気づいてもそこに向き合おうとはしない人が非常に多いと感じます。

この方たちは、過去の親子問題をわざわざ蒸し返すことに対して、非常に強い抵抗感を持っているようです。

「この問題を蒸し返すことで、せっかくうまくいってた親子関係が崩れてしまうのではないか」という恐れはもちろんのこと、
「大変な中一生懸命育ててくれたんだから、感謝こそすれ責めるなんてとんでもない」
「それなりにイヤな思いはしてたけど、そんなの誰にでもあることだろう」
「親ももう歳だし、いまさら過去の問題をほじくり返さなくてもいいじゃないか」

そんな風に自分に言い訳して、いよいよどうにもならない状態になるまで、親子問題に向き合うことを先送りにしてしまいがちです。

このように、過保護・過干渉に育った人は、幼少期に負った心の傷に「気づかない」「気づいても向き合わない」ことが、の改善への障壁になりやすいです。

そして、問題の先送りをしたまま、何度も同じような問題に直面し、繰り返し苦しみ続けています。

でも、もう薄々お気づきのとおり、おとなになってから抱える対人関係のお悩みは、まず間違いなく幼少期に負った心の傷から生まれています。そこを癒さずして、今だけを変えることはできません。

過去を振り返ることは、親を恨むことではなく、自分で自分の人生を生きるためのプロセスです。

ぜひ勇気をもって、この問題と向き合ってみていただければと思います。

過保護・過干渉で育った人も、掘り下げていけばきっと生きづらさの理由が見つかり、癒しの必要性を感じられるはずです。
まずは、入門講座へお越しください!

まとめ

今回のお話を表にまとめます。

過保護過干渉
意味その子に合った度合いを越えて、必要以上に守りすぎること子どもの領域に立ち入って、自分の思うとおりにコントロールしようとすること
親の特徴常に先のことを心配している
親自身の交友関係が希薄
他人の目を過度に気にする
子どもとの関係が上下関係(主従関係)
子の特徴(無力感)
「自分にはできない」という思いが強く、諦めも早い。
(無価値感)
自分の存在に価値を感じられず、周りから軽んじられているような気持ちに苛まれる。
克服方法インナーチャイルドケアインナーチャイルドケア

この記事について、動画でも解説しています。

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