【認知のゆがみ】②一般化のしすぎ ~ひとりはみんな~
『認知を変えれば人生が変わる』をテーマにお届けする、認知のゆがみ解説シリーズ。
「うつ病のバイブル」とも言われる、デビット・D・バーンズさんの著書「いやな気分よさようなら」に書かれている代表的な10種類のゆがみをご紹介しています。
今回はそのうちのひとつ「一般化のしすぎ」について解説します。
認知の歪み10種類
種類 | 内容 |
---|---|
1. 全か無か思考 | 白黒思考、ものごとを極端に考える |
2. 一般化のしすぎ | 「一部」のできごとを切り取って、あたかもそれが「すべて」であるように思い込む |
3. 心のフィルター | ネガティブなことに注目しすぎて世界が全体がどんよりしてしまう |
4. マイナス化思考 | ポジティブな面をねじ曲げてネガティブに捉えてしまう |
5-a. 心の読みすぎ(結論の飛躍) | はっきりとした根拠もないのに、相手の心を深読みして、勝手に傷ついたり怒ったりしてしまう |
5-b. 先読みの誤り(結論の飛躍) | 未来のことを読み間違えて決めつける |
6. 拡大解釈と過小評価 | ものごとや人物をありのままの大きさで捉えることができず勝手に拡大&縮小してしまう |
7. 感情的決めつけ | 自分が感じたことをあたかも事実を裏付ける証拠のように思い込む |
8. すべき思考 | 何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかにこだわる |
9. レッテル貼り | 自分や他者にペタペタとネガティブなタグ付けをする |
10. 個人化 | 自分に関係ないことまで、なんでもかんでも「わたしのせい」と思い込む |
一般化のしすぎ
「一部」のできごとを切り取って、あたかもそれが「すべて」であるように思い込む思考パターン。
- 一事が万事
- 一部=全部
- ひとり=みんな
- 数度=いつも
といった具合に、特定のことをあたかも普遍的なもののように解釈してしまう思考パターンの持ち主です。
一般化のしすぎの例
一般化のしすぎの人は、こんな風に考えがちです。
- こんな簡単な問題も解けないなら、どうせ何もわかってないだろう。(1つがダメならぜんぶダメという決めつけ)
- わたしはいつも肝心なときに失敗してしまう。(毎回失敗しているわけではない。)
- あの人がわたしを嫌っているということは、あの人の周りは全員わたしを嫌っているにちがいない。(ひとりに嫌われたからといって、全員に嫌われるわけではない。)
- 気になってたあの人を勇気を出して食事に誘ったのに断られた。どーせ男の人はわたしみたいな女と話していてもつまらないんだろう。(ひとりに断られただけ。)
まるで「クラスのみんながゲーム機を持っていて、自分だけが持ってない!」と訴える子どもさながら。
このような思考を持つと、一度の失敗を引きずって、次のチャレンジができなくなったり、他者の欠点をひとつ見ただけで大嫌いになってしまったりします。
一般化のしすぎの人が持ちたいフラットな視点(適応的思考)
一般化のしすぎの人は、以下のようなフラットな視点を持てるようになると、生きづらさが改善されていきます。
- ひとつダメなところがあっても、すべてダメとは限らない。
- 一度失敗したからといって、次も失敗するとは限らない。
- ひとりに言われたからといって、全員がそう思っているとは限らない。
- うまくいくこともあれば、いかないこともある。
フラットな視点に導く自身への問いかけ
一般化のしすぎの人がフラットな視点を導き出すためには、自分に対して以下のような問いかけをしてみます。
- 本当にすべてだろうか?
- 本当に毎回だっただろうか?
- 本当に全員がそう思っているだろうか?
自分が知っている範囲のことがすべてではないことを心に留め、勝手な解釈で決めつけてしまっていないか考えなおしてみましょう。
案外、自分が思っているほど決定的ではないことがほとんどです。
認知がゆがんだのにはわけがある
認知のゆがみの意味を解説したこちらの記事にも書きましたが、あなたが「拡大解釈と過小評価」の思考パターンを持つようになってしまったのは、あなたのせいではありません。
▶参考記事:『認知のゆがみ』を治せば生きづらさは手放せる
幼少期から好ましくない経験を重ねたり知識を仕入れたりしてきたからで、周りのおとなの言動が色濃く反映された結果です。
子どもの頃に、「みんなに笑われるよ」「できないのはあなただけよ」などと、自分vs他人の構図を刷り込まれてしまうと、ひとりに言われたことをみんなが思っているかのように錯覚するようになります。
また、親自身がなんでも一般化するような思考パターンの持ち主であれば、無意識のうちにそれが子どもに伝播することもあります。
それはあなたの潜在意識(無意識の領域)に深く根付いていきますので、ただフラットな視点を意識しただけで改善するのは非常に困難です。
こびりついてしまった認知のゆがみを修正するには、単にフラットな視点を意識するだけではなく、潜在意識に住むインナーチャイルドの癒しが必要です。
認知がゆがむ原因となった幼少期の心の傷を癒す(インナーチャイルドケアをする)ことで、その思考が必要のないものであると腹落ちさせていくことが大切です。
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