ケアテイカータイプの亜種「イネイブラー」と「プラケーター」(アダルトチルドレン)
生きづらさを抱えるアダルトチルドレンは、おおきく分けて5つのタイプに分類されます。
こちらはその中の「ケアテイカータイプ」の亜種「イネイブラー」「プラケーター」に関する解説です。
アダルトチルドレンに関する解説はこちら
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▶ケアテイカータイプ
亜種:イネイブラー・プラケーター(この記事です。)
▶ヒーロー・ヒロインタイプ
▶クラウンタイプ
▶スケープゴートタイプ
▶ロストワンタイプ
ケアテイカータイプおさらい
ケアテイカータイプについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、まだお読みになっていない方はこちらからどうぞ。
ケアテイカーさんは、その名のとおり、お世話焼きタイプ。
誰かの役に立つことが何よりもうれしい献身的な人が多いです。
ただし、人の役に立ちたいがために往々にして自分のケアを後回しにしがち。気が付けば自分ばかり厄介ごとを抱え込んで疲弊してしまうなんてこともあります。
そして、その献身さ故、人間関係(特に母娘関係)に表面だったトラブルが少なく、生きづらさの割にご自身がアダルトチルドレンだという自覚がない人がかなーーーり多いのも特徴的です。
だけど、いつも人に尽くして自分ばかりが損をしているような気になるのであれば、ケアテイカータイプの可能性大ですので、ぜひ一度向き合ってみることをおすすめしたいです。
ケアテイカータイプの小分類
そして、ケアテイカータイプは、いわゆるノーマルなケアテイカータイプのほかに2種類の亜種がいるというのがわたしの考えであり、昨今のアダルトチルドレンの分類の主流でもあります。
※ケアテイカータイプに限らず、アダルトチルドレンの分類には諸説あります。
この記事は、あくまでわたしの現在の考えを元に書いているにすぎず、他の方の見解を否定するものではありませんのでご承知おきください。
ケアテイカータイプを以下の3種類に分類します。(カッコ内はわたしのオリジナルネーミングですw)
リトルナースについては、すでに解説したいわゆるストレートタイプのケアテイカーさんで、他のタイプとの区別のためのネーミングです。
このタイプは、「〇〇してあげたんだから、わたしに感謝してよね or わたしのこと好きでいてよね」という感じで、お世話したことに対するなんらかのリターン(見返り)を求めます。
もちろんそんなことを露骨に口に出したりはしないですが、感謝されないことにモヤモヤしたり、それが長引くと尽くすのが嫌になったりするのがこのタイプです。(夫婦で揉める典型タイプw)
小さいころから家族のお世話をすることで、「さすがお姉ちゃん」などと認められたり褒められたりして自分の存在価値を保ってきた人で、自分から進んで誰かのケアをしにいく能動的なお世話役です。
このタイプの人は、
「お世話する ⇒ 感謝される ⇒ 自分存在価値を確認する ⇒ 満足する ⇒ お世話する」
のサイクルを形成します。
つまり、人から「必要とされること」「感謝されること」がお世話を焼くためのガソリンです。
これがいちばんスタンダードなケアテイカーさんの特徴であり、他の亜種と区別するために「リトルナース」(ナースはお給料もらいます)と呼ばれることがあります。
イネイブラー型(能動的お世話役採算度外視型)
自分から進んで誰かのケアをしにいく能動的なお世話役の中でも、お世話を焼くこと自体が生き甲斐になってしまっている、見返りを求めないガチのお世話焼きさんをイネイブラーといいます。
承認欲求が強い通常タイプのケアテイカーさんは、親の承認が得られないとわかると態度を豹変させてスケープゴート的になるようなところがありますが、この見返りを求めないイネイブラーさんは、たとえ承認や理解、感謝などが得られなくても、どこまでもどこまでも相手に尽くしてしまいます。
子ども時代、お母さんに認めてほしくてがんばるというよりは、家庭の中でお母さんそのものになっていた可能性があります。
兄弟姉妹のお世話はもちろん、お母さんのお母さん役まで不平も漏らさずやってしまっていたのかもしれません。
まるで、おしん。
この強烈なお世話焼きさんのいちばんの問題点は、そのままおとなになると、自分の恋人や配偶者、子どもにも同じようにトコトン尽くしてしまうことです。
側にいる人の依存を助長し、相手を本当にダメ人間にしてしまう危険性が非常に高いです。
イネイブラー(enabler)=可能にする者 という意味なんです。
- 借金している恋人の代わりに自分のお給料で借金返済してあげたり
- アルコール依存症の夫に次々お酒を買い与えてしまったり
- 二日酔いで会社に行かない息子の代わりに会社に電話をかけてしまったり
このイネイブラーの存在が、依存症の人が依存症でい続けることを「可能にする」のです。
本人は「善意」のつもりでやっているうえ、見返りを求めているわけではないので、依存症の人との共依存状態から抜け出すのが最も困難なタイプだと言えます。(闇が深い)
依存する側もされる側もどちらも幸せになれないですから、このタイプの自覚がある方は、周りの方のためにもぜひ、アダルトチルドレン克服を目指していただきたいです!!
プラケーター型(受動的お世話役ひたすら愚痴聞き型)
買い与える、代わりにやってあげるなど、アクションでの援助を能動的に続ける傾向が強い人がイネイブラーだとすると、話を聞く、慰めるなど、メンタル面での援助を受動的に続ける傾向が強いケアテイカーさんをプラケーターということになります。
プラケーター(Placater)=なだめ役、なぐさめ役
※placate(なだめる)+er(人)の造語です。
イネイブラーが身の回りの世話を甲斐甲斐しくするのに対し、プラケーターは、相手の愚痴や不平不満を善悪の判断なしにどこまでも聞き入れてしまうような人たちです。
子どものころ、
- 悲しそうなお母さんの顔を見れば、ずっと側にいて話を聞いてあげたり。
- お父さんの愚痴を言い続けるお母さんの愚痴を遮ることもなく、遅い時間まで付き合ってあげたり。
そんな風に家庭内で悩めるお母さんの心の拠り所になっていたのが、プラケーターさん。
プラケーターさんは、お母さんから「あなたがいちばん優しい」とか「あなたがいちばんわかってくれる」と言われるのですが、親が子どもの感情を受け止めるという本来の親子の立場が逆転してしまっています。(←ここ超重要ポイント!)
そのため、子ども自身がつらい思いをしたときの受け皿がどこにもなく、ひたすら我慢&犠牲の日々になってしまいます。
このタイプのいちばんの問題点は、お母さんが、自分の理解者であるこの子をいつまでも手元に置いておきたがることです。
無意識かもしれませんが、あの手この手でプラケータータイプの子を引き留めようと試みます。
- 経済的援助
- 身の回りの世話
- 孫の面倒
などを交換条件に、おとなになったプラケーターさんを側に置いておこうと手を尽くします。
たとえば、
- うちの敷地内に家建てていいよ。
- 頭金出してあげるよ。
- 食事の支度大変だろうから、毎週月曜はうちで食事をしましょう。
- 冬物はかさばるだろうから、うちで預かるわよ。
- 今日の保育園のお迎え、代わりに行こうか?
- 〇〇ちゃん(孫)うちで夕飯食べさせる?
などなど。(言われてますね!!!)
頼んでもないのに、それがあたかもプラケーターさんのためを思ってかのように、さまざまな提案をしてきます。
今の親世代はけっこう老後の蓄えもあったりしてこういうことわりとやりやすいんです。
でも、見えない裏の意図、ちゃんと読み取れてますか?
お母さんの潜在意識に潜む、無自覚な依存に気づけていますか?
親の親切だと思って無制限に受け取っていると、危険!危険!危険ですよ!!!
プラケーターさん場合、ご自身も長年ずっとお母さんの愚痴を聞くことで自分の存在価値を認めてきたため、なんだかんだ言ってもお母さんの側にいることが安心で、それを望み続けてしまいます。
プラケーターさん側も無自覚なことが多いのですが、あたかも自分の意志であるかのように、婚期が遅れたり、一生独身で通そうとしたりしますし、いざ結婚するときにもお母さんの気に入るような人を無意識に選んでいたり、同居や二世帯住宅、または近所に住む選択をしがちです。(そして、離婚した後、実家に戻るのもこのタイプが多いです)
新しい家庭を築いても、「ご主人<お母さん」が当たり前。
自分の家族よりも、お母さんとの関係が優先され、週末の度に帰省してお母さんとお茶を飲みながら、お互いの夫の悪口で盛り上がったりします。
(反対にご主人がこれやったら、「マザコン」とか「あたまおかしい」とか大騒ぎするんですけどね。)
周りの人からは、友だち親子とか、仲良し親子とか言われてうらやましがられたりもしますが、はっきり言って、それって、バッキバッキの母子共依存です。(ごめん、言わせてくれ!)
このタイプの人は、ことさらにお母さんを悪く思えないため、母子共依存から抜け出すのがすごーく大変です。
お母さんがお元気なうちはそれでもいいのかもしれませんが、、、
ご自身の人生はいったいどこに行っちゃうんでしょう?
お母さん以外の人との人間関係は、どうなってしまうのでしょう?
一度きりの自分の人生、お母さんのためではなく、ご自分のために生きていただきたいのです。
キーワードは共依存
今回ご紹介したイネイブラーさんとプラケーターさん。
両者の共通項は、「共依存」です。
際限なく尽くしてしまうイネイブラーさんは、恋人、配偶者、子どもなどと共依存に陥りやすく、母親の愚痴聞き役がやめられないプラケーターさんは、母子共依存に陥りやすいのです。
共依存の怖いところは、
- 視野が狭まり、自分自身や他の人との人間関係をおざなりにしてしまうこと。
- お互いがなくてはならない存在であり、相手がいないと生きていけないような錯覚に落ちること。
- ひとりが倒れることによって、共倒れになる恐れがあること。
お互いが自立して適度な距離感があるからこそ、ピンチのときに支え合えるのであって、普段からべったり依存していると、いざというときに共倒れになってしまい、お互いの重みで再起不能に陥ってしまうことも。
特定の誰かといつもべったりしていないと生きていけないなんて錯覚です!!
たとえ親でも子どもでもパートナーでも、自分の人生の操縦かんは誰にも渡さず、ちゃんと自分自身で握っていてくださいね!
イネイブラー・プラケーターまとめ
- ケアテイカータイプは、
リトルナース(能動的お世話役見返り要求型)
イネイブラー(能動的お世話役採算度外視型)
プラケーター(受動的お世話役ひたすら愚痴聞き型)
に小分類できる。
- リトルナースは、スタンダードなケアテイカータイプのこと。他の二種との区別のため「リトルナース」と呼ぶことがある。
子ども時代に、お母さん役をそのまま背負ってきたような人が多い。
人から「必要とされること」「感謝されること」がお世話を焼くための原動力となる。
- イネイブラーは、見返りを求めないガチのお世話焼きさん。
際限なく相手に尽くしてしまうので、依存症の人が依存症でい続けることを「可能に」してしまう。
本人は「善意」のつもりでやっているうえ、見返りを求めているわけではないので、依存症の人との共依存状態から抜け出すのが最も困難なタイプと言える。
- プラケーターは、お母さんの愚痴聞き役。
能動的に尽くすのではなく、ひたすら愚痴を聞いたり慰めたりする。
親が子どもの感情を受け止めるという本来の親子の立場が逆転してしまっている。
結婚しても、「夫<お母さん」になりがちで、他の人間関係より、お母さんとの関係を優先してしまう。
友だち母娘などと言われるが、母子共依存から抜け出すのが最も困難なタイプ。
いつまで経っても母親の支配下から抜け出せず、母親の意に沿う人生を生きようとする。
- イネイブラー・プラケーターの最大の問題点は、共依存。
・視野が狭まり、自分自身や他の人との人間関係をおざなりにしてしまう
・お互いがなくてはならない存在であり、相手がいないと生きていけないような錯覚に落ちる
・ひとりが倒れることによって、共倒れになる
などの問題が生じる。
特定の誰かといつもべったりしていないと生きていけないなんて錯覚。
自立してある程度の距離感を保ってこそ、いざというときに支え合える。
イネイブラー・プラケーター型ケアテイカーの生きづらさ克服法
イネイブラー・プラケーター型の人は、「自分がいないとあの人は生きていけない」と思っていたり、「あの人がいないと自分は生きていけない」と思っていたりしますが、それは大いに間違った観念です。
もちろん、「あの人がいてくれた方が人生より楽しい」なんてことはあるかもしれませんが、あなたもあの人もお互いがいなくてもちゃんと生きていけます。
もし、生きていけないように感じるのだとしたら、そこには「共依存」があり、お互いがお互いの人生をダメにしてしまっているのです。
それを克服するためには、「自分の面倒は自分でみる」と決めること。
そして、「相手には本当は自分で生きていく力があるのだ」と信じることです。
誰かの幸せを願うのであればこそ、自立が必要なのです。
共依存から脱する決心ができるようになるためには、幼少期から積み重ねてきた「偏った思考のクセ」を直す必要がありますが、それは残念ながら努力や根性だけではどうにもなりません。
「強くなろう」「もう依存はさせない!」そんな風に自分を鼓舞しても、気づくとまた同じようなことで繰り返し悩んでしまうというのは、あなたもご経験済みなのではないでしょうか?
思考のクセを直すには、そのクセを持つことになってしまった幼少期の自分の気持ちに気づき、心に負った傷を癒し、それが不要なものであると、頭だけではなく腹の底から理解する必要があります。
わたしは、それを実現する唯一の方法がインナーチャイルドケアであると思っています。
あなたはあなたのために生きていいのです。
インナーチャイルドを癒して、自分らしい人生を歩んでいきましょう!
\ 入門講座でインナーチャイルドを癒そう! /
※「インナーチャイルドケア入門講座」では「ヒーリング」の基礎部分をレクチャーします。
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