アダルトチルドレンとは? ~生きづらさを抱えたおとなたち~
このページでは、「アダルトチルドレン」について解説しています。
「アダルトチルドレンなんて自分には関係ない」——そう思っているあなたにも、ぜひ読んでいただきたい記事です。
このページの解説について
「アダルトチルドレン」は、医療機関で使われる正式な診断名ではありません。
このページでは、インナーチャイルドケアメソッド(ICCM)における捉え方としてご紹介しています。
アダルトチルドレンとは?
「アダルトチルドレン」という言葉は、もともと1970年代のアメリカで使われはじめたと言われています。
当時は「親がアルコール依存症の家庭で育ち、おとなになった人」を指す言葉でした。
そこから意味が広がり、現在では、
「子どもの頃の家庭環境や周辺環境の影響によって、おとなになってからも生きづらさを感じている人」
を表す言葉として、広い意味で使われています。
「アダルトチルドレン」と聞くと、問題のある家庭で育った、特別な人のことだと感じるかもしれません。
けれども、原因は、DV(家庭内暴力)や依存症、ネグレクトなどがある家庭だけに限りません。
おとなにとってはささいに見えるできごとでも、子どもの柔らかな心には大きな影響を与え、思わぬ形で今の生きづらさにつながることがあります。
また、アダルトチルドレンは、
Adult=おとな / Children=子ども
という単語の意味から、「子どもっぽいおとな」「おとなになりきれない幼稚な人」と誤解されやすく、
自分がアダルトチルドレンだと思うことに抵抗感を持つ方も多いかもしれません。
でも、アダルトチルドレンは「子どもっぽいおとな」ではなく、
むしろ、子どもの頃に子どもらしく無邪気に甘えたり、素直に自分の感情を表したりすることができず、
自分を守るために、無理やがまんをしたり、本来の自分とはちがう振る舞いを身につけたりしてきた人たちです。
一見わがままに見える行動も、安心したい、気づいてほしい、こっちを見てほしいという気持ちが潜んでいることがあります。
自由に自分を表現しているように見えても、それがその子の自然な子どもらしさとは限らないのです。
あなたがもし、子どもの頃に十分に甘えられなかったかもしれない、無理やがまんをしていたかもしれない、と思うのなら、この機会に一度振り返ってみることをお勧めします。
アダルトチルドレンの生きづらさ
では、なぜ子どもの頃に無理やがまんをしていた人が、おとなになって生きづらさを抱えてしまうのでしょう。
それは、子どもの頃に無理やがまんをする中で、自分を守るための無意識のルールが身につき、おとなになった今もそのルールに従い続けているからです。
ICCMでは、この無意識のルールを「観念」と呼んでいます。
たとえば、
子どもの頃に、「ちゃんとしなさい」「非常識なことをしてはいけない」と教えられて育つと、
それが無意識のうちにルール化され、
おとなになっても、人目に触れる場面になると、どう思われるかばかりを過度に気にしてしまったり、緊張して自分らしく振る舞えなくなったりします。
また、そのルールを他人にも当てはめ、ルーズな人や非常識な人を見るたびに、イライラしてしまったりもします。
たとえば、
子どもの頃に、「優秀でなければならない」「失敗は恥ずかしいことだ」と教えられて育つと、
それが無意識のうちにルール化され、
おとなになっても、失敗やミスを怖れてチャレンジを避けてしまったり、人から指摘を受けることに強い苦手意識が出てしまったりします。
また、そのルールを他人にも当てはめ、失敗したりミスをする人に、きつくあたってしまったりもします。
このように単純なケースばかりではありませんが、
子どもの頃に、無邪気に甘えたり、素直に自分の感情を表したりすることが十分にできずにいた人は、
親や身近な人に愛されるため、もしくは嫌われないように、自分を守るためのさまざまなルールを無意識のうちに身につけているのです。
そして、自分でも気づかないところで、そのルールにとらわれ続けていて、
いくら頭では気にしないようにしようと思っていても、心が毎回同じパターンで反応をしてしまうから、さまざまな問題に直面するのです。
このことについては、「ストレス反応の4F」の記事で詳しく解説しています。
アダルトチルドレンになる理由
本来、自分の感情や欲求に正直なはずの子どもが、無理やがまんをして、それをルール化してしまう過程には、さまざまな理由があります。
わたしは、主な原因は、以下のふたつに大別できると考えています。
①小さなできごとの積み重ね
親の多忙、家族の不仲や病気、経済的な不安。
親や周りのおとなが持つルールに基づく、過度なしつけや周囲との比較。
また、余裕のなさから生じる無視や無関心など。
おとなにとっては「仕方ない」「たいしたことではない」ことであったとしても、柔らかな心を持った子どもにはダメージになることがあります。
子どもは、どうしたら親に愛してもらえるか、嫌われずにいられるかということを無意識のうちに考えて、無理やがまんをするようになります。
そして、「役に立たなければいけない」「わがままを言わず従順でなければならない」などのルールを身につけていきます。
また、直接自分に言われたりされたりしたことでなくても、親の表情や言動、家族間の関わり方などを見て、「これが世の中の成り立ちなのだ」と学び、自分の中でルール化してしまうこともあります。
②その子の特性に、配慮されない環境
発達に凸凹のある子や、ひといちばい繊細な気質を持つ子は、決して少なくありません。
学力や体力にも個人差があります。
でも、そうした子どもへの理解や配慮はまだまだ不十分で、まわりの子と同じ環境で、同じやり方を求められ、うまくできないと叱られたり、がまんを強いられたりすることがあります。
たとえ親が普通に育てたつもりでも、その子の特性に合わない環境で適応を求められ続けることもあります。
その中で子どもは、「できなければ愛してもらえない」と自分を無理に律したり、できない自分を否定するルールを身につけていくのです。
たとえば、「つらくてもがまんするしかない」「人に助けを求めてはいけない」などのルールです。
ここで知っておきたいのは、アダルトチルドレンは、家庭から受けた影響が大きいとはいえ、親だけに責任があるわけではないということです。
親もまた、その親や、育った時代、社会の価値観から影響を受けているからです。
<社会や時代の価値観>
- 自己犠牲や遠慮を、美徳とする
- 感情を表に出すことを、わがままだと考える
- 勉強や運動ができる子を高く評価する
- 子どもは、おとなの言うことを聞くものだと考える
- 子どもの特性よりも、集団に合わせることを優先する
こうした価値観が当たり前だった時代に育った人たちが、子どもに同じことを求めてしまうのは無理もないことです。
大切なのは、犯人捜しをすることではなく、子どもの頃にどのようなルールを身につけ、無理やがまんをしていたのかに気づくことです。

アダルトチルドレンとインナーチャイルドの関係
よくお客さまからご質問いただくことのひとつに、
「アダルトチルドレンとインナーチャイルドってどうちがうんですか?」
というのがあります。
どちらも「チャイルド」がつく言葉なので、ちょっと紛らわしいですよね。
インナーチャイルドケアメソッド®(ICCM)では、
- インナーチャイルド=自分の内側の、まるで小さな子どものように純粋な部分(潜在意識)
- アダルトチルドレン=インナーチャイルドが子どもの頃のルール(観念)を握りしめたままで、生きづらさを感じている人
と説明しています。
潜在意識は誰にでもあるものなので、インナーチャイルドも誰の中にもいます。
そして、子どもの頃に無理やがまんをして、そのルールに今もとらわれたまま生きづらさを感じていれば、アダルトチルドレンということです。
アダルトチルドレンの定義には、さまざまな捉え方がありますが、
わたしは、アダルトチルドレンと、そうでない人を、明確に二つに分けられるものではないと考えています。
子ども時代に、まったく無理やがまんをせず、一つも無意識のルールを身につけずに、おとなになる人はいないからです。
すべての人が、程度の差を含んだグラデーションの中にいるというのがICCMの考え方です。
だから、インナーチャイルドケアは特別な誰かのものではなく、
普通に育っていても生きづらさを感じる人すべてにお届けしたい癒しのメソッドなのです。

アダルトチルドレンの生きづらさを克服するには
アダルトチルドレンの生きづらさの理由が、子どもの頃のルール(観念)にとらわれていることだとすると、
生きづらさを根本から変えていくには、今も自分を縛っているルールを緩めていく必要があります。
でも、ここで必ず心に留めておきたいのは、
そのルールは、子どもの頃の自分が、自分を守るために身につけたものだということです。
- ちゃんとしていなければいけない
- 優秀でなければいけない
- 役に立たなければいけない
- わがままを言わず従順でなければならない
- つらくてもがまんするしかない
- 人に助けを求めてはいけない
こうしたルールは、おとなになったあなたにとっては自分を縛る厄介なものだとしても、
子どもだったあなたにとっては、親や周りのおとなに見放されず、安全に生きるための生存戦略だったのです。
それを今もインナーチャイルドが大切に握りしめているのですから、
いくらもう必要ないと頭で考えたところで、変われない自分を責めたところで、簡単には手放せないのです。
わたしは、アダルトチルドレンが自分を縛っているルールを緩めるためにはまず、
「インナーチャイルドとの信頼関係を育み直すこと」が必要だと考えています。
ルールを握りしめたまま、手放すことを怖れているインナーチャイルドに、
根気よく愛情深く寄り添い、自分の中に、安心して寛げる場所を育んでいきます。
ICCMでは、このインナーチャイルドが安心できる場所を「ホームポジション」と呼んでいます。
インナーチャイルドがホームポジションで安心して寛げるようになると、
とらわれていたルールも少しずつ緩み、
いつも同じ反応を繰り返すことが少なくなり、以前より楽に生きられるようになります。

これまで、自分を守るために健気にルールを守り続けてきたインナーチャイルドを癒し、
無意識のルールにとらわれず、あなたらしく楽に生きられるようになる。
それが、アダルトチルドレンの生きづらさを手放していくということなのだと、わたしは考えています。