【アンガーマネジメント⑦】怒りを感じない!?アレキシサイミア傾向の怒り抑圧型さんが人生を楽しむには。
シリーズでお届けしている「アンガーマネジメント」。
こちらは第七弾。怒り抑圧型さんに向けたアンガーマネジメント法をお伝えします。
とはいえ、怒り抑圧型さんは怒りで困っているという自覚がないはず。
感情の抑圧が強いので、怒りそのものを感じにくくなってしまっているからです。
でも、そのまま放っておくと、感情が蓄積されて心身を壊してしまうことも。
怒り抑圧型さんが感情を適切に表出できるようになるためには、いったいどうしたらよいのでしょう?
怒り抑圧型さんとは?
怒り抑圧型の特徴をおさらいしておきましょう。
怒り抑圧型
- 明らかに怒るシチュエーションでも怒りを感じられない
- 感情が揺れることがほとんどなく、怒りだけでなくよろこびなども感じにくい
こんな特徴にあてはまる人たちのことです。
他のタイプとちがって、怒りのベクトルがどこにも向かわない人。
怒らないから問題ないでしょと思われがちですが、気づかないところ(潜在意識)で感情はちゃんと沸いていて、出口を探してさまよっています。(感情が沸いていないわけではないのです。)
そのため、常に閉塞感があり、なにをしてても楽しくない、何のために生きているかわからないといった、無気力な感覚にまとわりつかれています。
また、周りの人からも「クール」「感情がない」「合理主義」と思われがちで、楽しいイベントごとなどへのお誘いも少なく、孤立してしまいがちです。
他の人が楽しそうにしているのを見ては、「あんな風に奔放に生きられたらうらやましいけど、わたしには絶対無理」なんて思っていたりします。
怒り抑圧型さんの幼少期
怒り抑圧型さんは、先天的な特性でいうと、怒り内向型さんに近いのかもしれません。
内気で、刺激の強いことは望まない傾向があります。
そして、幼少期の家庭環境で言えば、他のタイプの方よりも過酷であることが多いです。
何かをして叱られるというよりは、育児放棄されていたり(ネグレクト)、逆にすべてをコントロールされていたり(過干渉)と、極端な環境の人にみられます。
ひとりの人間としてというより、モノのように扱われてきたことで、「感情を持ってはいけない」と自分に自信に言い聞かせてきてしまったのです。
また、家族全体が感情を自由に表現することへの許容度が低い環境で育った人が多いのも特徴的です。
怒り抑圧型の方に、ご家庭の様子をうかがうとたいてい「静かだった」「みんなそれぞれ自分のことをやっていた」というように、家族間の感情交流が少ない傾向が見られます。
感情豊かに表現するような人が周りにいなかったことで、感情の出し方がわからないままおとなになってしまうのです。
それが怒り抑圧型さんです。
怒り混合型とアダルトチルドレンタイプ
怒り抑圧型とアダルトチルドレンの関係を見てみましょう。
怒り抑圧型さんは、ほとんどがロストワンタイプです。
たまに他のタイプの方もいらっしゃいますが、その方たちにももれなくロストワンタイプの要素があります。
アダルトチルドレンのタイプ別解説はこちら。
▶アダルトチルドレン5つのタイプ
幼少期からため込み続けてきた感情は、勝手に消えてなくなりません。
あなたが気づいて表に出してくれるまで、ずっと潜在意識に居座り続けます。
ロストワンタイプの人の潜在意識の中ではこれまでにため込んだとてつもない量の感情がヘドロのように滞って、出口を探してさまよっています。
そこにいるインナーチャイルドは息もできないほどに苦しくて、あなたの助けを今か今かと待っているのです。
怒り抑圧型さんの悩みごと
怒り抑圧型さんのお悩みは、他のタイプの方のように怒りをどうコントロールするのか、ということではなく、そもそも怒りを感じられないことにあります。
さらに、怒りを感じないことそのものを問題視しているというよりも、感情をため込み過ぎた結果、心身症と言われるような病気になってしまったり、生きている意味を感じられなくなってしまうことが問題です。
心と身体の関係性に気づけている方は、なんとか感情を表現しようとされるのですが、まるで糸端が見つからなくなった毛糸玉みたいに、なかなか突破口を見出すことができません。
汚い表現で恐縮ですが、怒り抑圧型さんの潜在意識はまるで「感情の便秘」状態。
出したくでも出せない。どうやってもでない。だけどどんどん入ってくる。その苦しさは他の人には理解し難いことですが、ご本人はどうしようもなく苦しいんですよね。
怒り抑圧型さんは少数派なので、この苦しみを分かち合うような仲間を見つけることも難しく、社会の中で孤立してしまいがちです。
感情を感じられない閉塞感を抱えながら、その苦しみを誰にも分かち合えないなんて、どれほどに追い詰められてしまうでしょう。
怒り抑圧型とアレキシサイミア
そして怒り抑圧型さんに知っていただきたいのは、アレキシサイミア(失感情症)のこと。
アレキシサイミアは、精神科医のピーター・E・シフネオスらが提唱した概念であり、病名ではありません。
厚生労働省の情報サイトe-ヘルスネットに掲載にされている情報によると、
古典的「心身症」と言われていた患者さん達には、「自分の感情を表現する言葉を見つけるのが難しい」という特徴があるとされており、さらにはこう書かれています。
私たちは自分が「腹が立っている」とか「とっても怖い思いをした」とその感情に気づき、それを言葉で表現をすることを普段何気なく行っていますが、心身症の患者さんたちはどうもそうしたことが上手ではないのではないかというのです。昔の諺にある「もの言わざるは、腹ふくるるわざ也」のように、自分の微妙な感情の変化に気づき言葉にしていくことは、私たちの健康維持にとりきわめて大切というわけです。
e-ヘルスネット 失感情症(アレキサイミア)
感情を出すことが、みなさんの健康にどれほど大切であるかがお分かりいただけるかと思います。
怒り抑圧型の方は、ご自分にアレキシサイミア傾向があることを自覚し、その対処について考えてみてください。
抑圧にも程度があって、もうほとんどなんにも感じられない人もいれば、あまり感じられなくなってるけれど、なんとなく感情が動いたことはわかる、という人もいます。
まだ少しでも心が揺れるうちに、早めにご自分と向き合っていただけたら。
怒り抑圧型さんのアンガーマネジメント
もうお分かりのとおり、怒り抑圧型さんのアンガーマネジメントは、怒りをコントロールすることではなく、感情を感じられるようになることを目指します。
怒りのメカニズムの解説でお伝えしたとおり、怒りは二次感情であり、一次感情を抑圧するために持ち出されるフェイク感情なのですが、それすら感じられなくなってしまっているということは、とっても危険な状態なのです。
①身体症状がないことを確認する
あたりまえのことですが、もちろん健康第一。体調面に不安がある方は先に医師の診断を受けてください。
アレキシサイミア(失感情症)だからと自己診断をして、感情解放にだけ注力していると、その間に体調が悪化してしまう恐れもあります。
それに、抑圧型の人が感情を感じるのは体力がいることです。抑圧が強い分、感情のフタが重たいマンホールのようなものなので、感情を少し感じるだけでも消耗します。
②ポジティブな感情を探してみる
怒り抑圧型さんが、いきなりネガティブな感情にアプローチするのは危険です。
まずは、感じることに抵抗が少ないポジティブな感情からトライしてみることをおすすめします。
たとえば、きれいなお花を目にしたときに、「きれいだな」とあえて言葉にしてみる。
人に親切にされたとき、「ありがとう」だけでなく「うれしいです」と言ってみる。
言葉にすることに抵抗があったら、そう感じているということに気づくだけでもOKです。
③感情を視覚化する
感情をリストからピックアップしたり、色で表現してみる方法もおすすめです。
「感情一覧」などとググっていただけると感情の言葉を一覧にしたリストを見つけられると思います。
そのようなものをあらかじめ手元に用意しておき、なにかできごとがあるたびに、今自分はどの感情を感じていたんだろうと眺めてみると感情に気づきやすくなります。(わたしの入門講座では、専用シートに感情リストを掲載していますので受講された方はそちらをご参照ください。)
また、感情は色との関連付けが効果的でもあります。
多少の個人差はありますが、
- 悲しみ=青
- 楽しみ=黄色
- よろこび=ピンク
- 安心=緑
というように、色と感情を結び付けて考えてみることができます。
なにかできごとがあるたびに、今自分の心は何色かと考えてみることで、感情に気づきやすくなります。
はじめはダークな灰色かもしれませんが、ほんの少しでも毎日に色を見つけてみてくださいね。
あきらめずに根気よく向き合っていくと、だんだんと毎日の中でたくさんの感情が揺れ動いていることに気づけるようになっていきます。
ご希望の方は、インナーチャイルドケア入門講座で詳しくご説明し、具体的なやり方をお伝えしますので、ぜひお越しください!
怒り抑圧型さんへ
毎日言葉にならない息苦しさを感じながらも、どうにか生きづらさを手放す術を探して、このページにたどりついてくださったのではないかと思います。
そのお気持ちが本当にすばらしく、まずはこうして生きづらさから抜け出すために行動したご自分のことを認めてあげてほしいです。
お伝えしてきたとおり、怒り抑圧型さんのアンガーマネジメントは、感情の揺れに気づくところからスタートするため、簡単な道のりではないかもしれません。
だけど、今のまま感情を感じずに生きることは、インナーチャイルドを苦しめ続けることです。
できごとが起こるたびに沸きあがってきている感情が、出口を見つけられずにあなたの体内に蓄積されていき、やがてそれが心や体をむしばんでいってしまいます。
勇気のいることかもしれませんが、せっかくこのページにたどり着いたのですから、ここで踵を返さず、ご自分の心と向き合うことを選択していただけるとうれしいです。
怒り抑圧型の人は、はじめは感情を感じることがうまくいかないかもしれません。
まるでパンドラの箱を開けるように、触れてはいけない部分を覗くような感覚があるかもしれません。
もしそのように感じるのであれば、それはまさに感情が沸いた瞬間。癒しのチャンスです。
「感情を感じるのって怖いよね。自分がどうなっちゃうか不安だよね。」とチャイルドの感情にしっかりと寄り添って怒りを抱き留めてあげてください。
一気にこじ開けようとしなくていいので、そんな風にして、恐る恐るやってみてください。
感情を感じない毎日は、無味無臭で、生きる意味を見失ってしまいます。
たった1度の人生、ただただ時間が過ぎるのをやり過ごすだなんて、もったいなさ過ぎると思いませんか?
一緒にインナーチャイルドケアをして、本当のあなたを迎えに行きましょう。
怒り抑圧型以外の方へ
隣の席に座っているあのクールな同僚も、一緒にいてもつまらなそうなご友人も、いつも塩対応なご近所さんも、もしかしたら怒り抑圧型さんなのかもしれません。
彼らは、感情がないわけではなく、ただ出し方がわからないだけなのです。
そのような環境で育ってきてしまったから、感情をどう表現したらいいかわからないだけなのです。
だから、何かをプレゼントしてもあなたのようにはよろこばないかもしれないし、どこかに誘ってもあなたのようにうれしそうにはしないかもしれない。
だけど、それでもなんだかんだであなたの側から離れないのなら、それは怒り抑圧型さんにとって精一杯の感情表現だったりもします。
あなたの周りにいる感情表現が薄い人を「別に悪意があってそっけない態度を取っているわけではないのかもしれない」という視点に立って見てみると、その人の本当の姿が見えてくるのではないでしょうか。
塩対応返しをするのではなく、いつもと変わらないあなたの笑顔で接していただけたら、怒り抑圧型さんも少しずつ心を開いてくれるかもしれません。
それでももし、怒り抑圧型さんの愛想なしで合理主義な言動が許しがたいと感じるのであれば、あなたのインナーチャイルドも傷ついている可能性大。
よかったら一緒にインナーチャイルドケアしましょう!
怒りシリーズバックナンバー
【アンガーマネジメント①】怒りの正体 ~なぜわたしたちは怒るのか~
【アンガーマネジメント②】あなたはどのタイプ?「怒り」タイプをチェックしよう!
【アンガーマネジメント③】集計結果発表!みんなの怒りタイプを見てみよう!
【アンガーマネジメント④】究極のアンガーマネジメントはこれだ!怒り外向型さんに捧ぐ、本気の怒りの取り扱い方。
【アンガーマネジメント⑤】自分責めがやめられない!セルフ幼児虐待をしている怒り内向型さんが自分に優しくなるたった一つの方法。
【アンガーマネジメント⑥】外ではいい人なのに、家族へのイライラが抑えられない!?怒り混合型さんが平和に暮らすには。
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