【認知のゆがみ】①全か無か思考 ~完璧でなければ意味が無い~
『認知を変えれば人生が変わる』をテーマにお届けする、認知のゆがみ解説シリーズ。
「うつ病のバイブル」とも言われる、デビット・D・バーンズさんの著書「いやな気分よさようなら」に書かれている代表的な10種類のゆがみをご紹介しています。
今回はそのうちのひとつ「全か無か思考」について解説します。
認知の歪み10種類
種類 | 内容 |
---|---|
1. 全か無か思考 | 白黒思考、ものごとを極端に考える |
2. 一般化のしすぎ | 「一部」のできごとを切り取って、あたかもそれが「すべて」であるように思い込む |
3. 心のフィルター | ネガティブなことに注目しすぎて世界が全体がどんよりしてしまう |
4. マイナス化思考 | ポジティブな面をねじ曲げてネガティブに捉えてしまう |
5-a. 心の読みすぎ(結論の飛躍) | はっきりとした根拠もないのに、相手の心を深読みして、勝手に傷ついたり怒ったりしてしまう |
5-b. 先読みの誤り(結論の飛躍) | 未来のことを読み間違えて決めつける |
6. 拡大解釈と過小評価 | ものごとや人物をありのままの大きさで捉えることができず勝手に拡大&縮小してしまう |
7. 感情的決めつけ | 自分が感じたことをあたかも事実を裏付ける証拠のように思い込む |
8. すべき思考 | 何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかにこだわる |
9. レッテル貼り | 自分や他者にペタペタとネガティブなタグ付けをする |
10. 個人化 | 自分に関係ないことまで、なんでもかんでも「わたしのせい」と思い込む |
全か無か思考
ものごとを極端に考える思考パターンで、別名「白黒思考」や「ゼロ百思考」とも呼ばれます。
- YESかNO
- マルかバツ
- 白か黒
- 好きか嫌い
- 成功か失敗
といった具合に、何ごとにもグレーゾーンを許さず、明確な答えを出そうとしてしまう思考パターンの持ち主です。
全か無か思考の人の思考の例
全か無か思考の人は、こんな風に考えがちです。
- あんな風に叱ってしまうなんて、わたしは母親失格だ。
- こんなミスをするなんて、わたしはもう一生出世できない。
- メールの返事がそっけない。もう完全に嫌われた!
- こんな簡単な問題も解けないなんて、この子の将来は絶望的だ!
- 遅刻するなんて会社にくる意味がない!辞めちまえ!
100点でなければ0点に等しいと考えるので、多少のミスを許容できず、ひとつでもできないことがあると、すべてダメに思えてしまいます。
完璧主義で融通が利かないのが特徴で、自分に対しても他人に対しても高いハードルを課すので、自分も周りも非常に息苦しい思考です。
特に怒り外向型(他責傾向)の方は、この思考によって人間関係にたびたびトラブルをもたらします。
全か無か思考の人が持ちたいフラットな視点(適応的思考)
全か無か思考の人が以下のようなフラットな視点を持てるようになると、生きづらさは改善されていきます。
- 誰にでもミスはある。
- 一度の失敗で人生を棒に振るわけではない。
- 人間はみな不完全な生き物だ。
- いいときもあれば悪いときもある。
- すべてに明確な答えを出す必要はない。
- 得意なことも不得意なこともある。
フラットな視点に導く自身への問いかけ
全か無か思考の人がフラットな視点を導き出すためには、自分に対して以下のような問いかけをしてみます。
- その思考は本当に100%正しいのだろうか?
- 他の可能性はないだろうか?
- あてはまらないことはないだろうか?
わたしたちが生きているこの世界は、ほとんどすべてのことがグレーゾーンに存在します。
女性の中にも男性ホルモンは流れているし、夕方に近い夜もあれば明け方に近い夜もある。それがあたりまえのことです。
グレーゾーンに意識を向けることで、極端に振れる思考を緩めることができます。
認知がゆがんだのにはわけがある
認知のゆがみの意味を解説したこちらの記事にも書きましたが、あなたが「レッテル貼り」の思考パターンを持つようになってしまったのは、あなたのせいではありません。
▶参考記事:『認知のゆがみ』を治せば生きづらさは手放せる
幼少期から好ましくない経験を重ねたり知識を仕入れたりしてきたからで、周りのおとなの言動が色濃く反映された結果です。
子どもの頃に、欠点やミスを執拗に責められたり、できたことよりもできないことばかりに注目され完璧を求められてきた人は、おとなになると完璧主義でミスを嫌う全か無か思考の人になります。
また、親自身が完璧主義で、自分の短所や欠点を受け入れたりする余裕のない人であれば、子どももその考えを踏襲してしまいます。
それはあなたの潜在意識(無意識の領域)に深く根付いていきますので、ただフラットな視点を意識しただけで改善するのは非常に困難です。
こびりついてしまった認知のゆがみを修正するには、単にフラットな視点を意識するだけではなく、潜在意識に住むインナーチャイルドの癒しが必要です。
認知がゆがむ原因となった幼少期の心の傷を癒す(インナーチャイルドケアをする)ことで、その思考が必要のないものであると腹落ちさせていくことが大切です。
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