【認知のゆがみ】⑥拡大解釈と過小評価 ~双眼鏡のトリック~
『認知を変えれば人生が変わる』をテーマにお届けする、認知のゆがみ解説シリーズ。
「うつ病のバイブル」とも言われる、デビット・D・バーンズさんの著書「いやな気分よさようなら」に書かれている代表的な10種類のゆがみをご紹介しています。
今回はそのうちのひとつ「各医大解釈と過小評価」について解説します。
認知の歪み10種類
種類 | 内容 |
---|---|
1. 全か無か思考 | 白黒思考、ものごとを極端に考える |
2. 一般化のしすぎ | 「一部」のできごとを切り取って、あたかもそれが「すべて」であるように思い込む |
3. 心のフィルター | ネガティブなことに注目しすぎて世界が全体がどんよりしてしまう |
4. マイナス化思考 | ポジティブな面をねじ曲げてネガティブに捉えてしまう |
5-a. 心の読みすぎ(結論の飛躍) | はっきりとした根拠もないのに、相手の心を深読みして、勝手に傷ついたり怒ったりしてしまう |
5-b. 先読みの誤り(結論の飛躍) | 未来のことを読み間違えて決めつける |
6. 拡大解釈と過小評価 | ものごとや人物をありのままの大きさで捉えることができず勝手に拡大&縮小してしまう |
7. 感情的決めつけ | 自分が感じたことをあたかも事実を裏付ける証拠のように思い込む |
8. すべき思考 | 何か行動をおこすときに、マイルール(自分の中にあるルール)と照らし合わせて、それに沿っているかどうかにこだわる |
9. レッテル貼り | 自分や他者にペタペタとネガティブなタグ付けをする |
10. 個人化 | 自分に関係ないことまで、なんでもかんでも「わたしのせい」と思い込む |
拡大解釈と過小評価
ものごとをありのままのサイズでとらえられず、拡大したり縮小したりしては悩みを抱える思考パターンです。
特にネガティブ思考の人は、自分のマイナス面と他者のプラス面を大きく、他者のマイナス面と自分のプラス面を小さくとらえがちです。
デビット・バーンズ先生は、このゆがみのことを別名「双眼鏡のトリック」と呼んでいます。
このゆがみがあると、ものごとや人物を本来の大きさではなく、凸レンズを通して見るように拡大したり、逆から凹レンズを覗くように縮小したりして見るようになるからです。
拡大解釈と過小評価の例
「拡大解釈と過小評価」のゆがみを持つ人は、こんな風に考えがちです。
- あの人はなんでもできるのに、自分は何にもできない。
- あの人はわたしの欲しいものをなんでも持っている。わたしには何もない。
- みんなわたしより優秀だ。
- (自分の成功や長所に対して)こんなのたいしたことない。
- (他者の失敗や短所に対して)あんなのどうってことない。
隣の芝生は青く、自分のところにあるものは、たいしたことがないつまらないものと考えるため、他者に対して強い劣等感を抱いたり、自分の価値を感じられなかったりします。
実際には、他者にも欠点や失敗はあるのですが、自分だけがダメに思えてしまうのです。
拡大解釈と過小評価の人が持ちたいフラットな視点(適応的思考)
「拡大解釈と過小評価の例」のゆがみを持つ人は、以下のようなフラットな視点を持てるようになると、生きづらさが改善されていきます。
- 隣の芝生は青く見えるものだ。
- 欠点は誰にでもある。
- 失敗は誰にでもある。
- 自分だけがいつも惨めなわけではない。
フラットな視点に導く自身への問いかけ
「先読みの誤り」のゆがみを持つ人がフラットな視点を導き出すためには、自分に対して以下のような問いかけをしてみます。
- 双眼鏡を通して見てはいないだろうか?
- 相手を過大評価していないだろうか?
- 自分を過小評価していないだろうか?
自己批判を始めたときに、自分がこの世を色眼鏡で見ていないかチェックするように心がけ、客観的な視点で捉えなおすことをしてみてください。(メタ認知)
思っているよりも周りの人が恵まれているわけじゃないことに気づくはずです。
認知がゆがんだのにはわけがある
認知のゆがみの意味を解説したこちらの記事にも書きましたが、あなたが「拡大解釈と過小評価」の思考パターンを持つようになってしまったのは、あなたのせいではありません。
▶参考記事:『認知のゆがみ』を治せば生きづらさは手放せる
幼少期から好ましくない経験を重ねたり知識を仕入れたりしてきたからで、周りのおとなの言動が色濃く反映された結果です。
子どもの頃に「なんで○○ちゃんはできるのに、あなたはできないの?」などと周りの人と比較され、自分は他人よりできない・劣っているということを植え付けられしまえば、自分の良いところを過小評価し、自分の悪いところを過大評価するクセがついてしまいます。
子どもの頃に「○○ちゃんはあなたとちがってなんでもできてすごいね。」などと周りの人と比較され、他人は自分よりできる・優れているということを植え付けられてしまえば、他人の良いところを過大評価し、他人の悪いところを過小評価するクセがついてしまいます。
また、親自身が常に他人と比べて自己卑下をしているようであれば、無意識のうちにそれが子どもに伝播し、子どもも「拡大解釈と過小評価」のゆがみを持つようになるのです。
それはあなたの潜在意識(無意識の領域)に深く根付いていきますので、ただフラットな視点を意識しただけで改善するのは非常に困難です。
こびりついてしまった認知のゆがみを修正するには、単にフラットな視点を意識するだけではなく、潜在意識に住むインナーチャイルドの癒しが必要です。
認知がゆがむ原因となった幼少期の心の傷を癒す(インナーチャイルドケアをする)ことで、その思考が必要のないものであると腹落ちさせていくことが大切です。
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