毒親育ちじゃないのにアダルトチルドレンになる!? ~隠れアダルトチルドレン(HSPAC)~
実は、わたしのクライアントさんの多くは、自分の親御さんのことを「毒親ではない」と認識しています。
毒親育ちじゃないのにアダルトチルドレンになることってあるのでしょうか?
そもそも毒親とは?
「毒親」という言葉は、臨床心理セラピストのスーザン・フォワードさんが2001年に出版した「毒になる親」が始まりだとされています。
同書の中でスーザンさんは、毒になる親(=毒親)を「子供に対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子供の人生に害悪を及ぼす親」と書いており、その種類として、
- 「神様」のような親
- 義務を果たさない親
- コントロールばかりする親
- アルコール中毒の親
- 残酷な言葉で傷つける親
- 暴力を振るう親
- 性的な行為をする親
をあげられています。
この中で字を見ただけではわかりづらいのは「神様のような親」ですが、同書によると「親は絶対であり、子供は常に親の言う通りにしなければならない」というタイプの親のことだそう。
なるほど、「子どもはおとなの言うことを聞いてればいい」みたいなタイプの親ですね。
まず、ここでわかるのは、「何もDVやネグレクトなどのわかりやすい機能不全だけが毒親問題ではない」ということです。
子どもが親の言うことを聞くように強制するタイプや、何かにつけて「〇〇しなさい」と指示を出すコントロールタイプも毒親に属することになります。
こう聞くと、「うちの親も毒親かも・・・」と思われる方が少し増えるんじゃないかと思います。
毒親をわたしの解釈で以下のようにまとめておきます。
毒親とは?
子どもをひとりの人間として尊重せず、自分の意のままにコントロールしようとするなどを繰り返し、子どもの心を傷つける親。
うちの親は優しかった
それでもまだ、「うちの親は毒親なんかじゃない」と頑なに信じている人もいるでしょう。
わたしは、本講座を受けてくださるクライアントさんに必ずお父さまお母さまのことをお伺いしますが、ご自分の親御さんが毒親だったと思っていらっしゃる方はさほど多くありません。
「無理やり強制したり命令口調だったりすることもなかったし、わりとおおらかで自由に育ててもらったと思う」なんておっしゃる方もたくさんいます。
でも、なんだかやたら生きづらいし、アダルトチルドレン度チェックをやるとかなりの高得点をたたき出すものですから、自分が何か大きなできごとを忘れてしまっているんじゃないかと思ったり、自分には他の問題(発達障害)などがあるんじゃないかと疑いを持たれています。
実際、大きなトラウマを忘れていたり、他の問題の場合もありますが、その中に少なからず「微毒親+繊細な子(HSCなど)」の組合せで、アダルトチルドレンになっている方が存在します。
※HSC=Highly Sensitive Child(HSPの子ども時代をHSCと言います。)
隠れアダルトチルドレン(HSPAC)
わたしは、この「微毒親+繊細な子(HSCなど)」の組合せでできるアダルトチルドレンさんを隠れアダルトチルドレン(HSPAC)と呼んでいます。(ICCM造語)
※隠れているのは生きづらさではなく、親の毒です。
アルコールをたくさん飲んでも酔わない人と、ちょっとの量でもすぐに顔が真っ赤になってしまうような人がいますよね?
親からの毒にも同じようなことが言えるんです。
少しくらい叱責では気にしないタイプの子もいれば、ちょっと注意されただけでひどく傷ついてしまう子もいます。
そもそも子どもはおとなよりも傷つきやすいですから、たとえ気にしないタイプの子でも十分な配慮が必要なのは言うまでもありませんが、その中でも比較的耐性が強い子もいれば、ダメージを受けやすい子もいます。後者はHSCなどと言われるひといちばい繊細な気質を持ったお子さんがあてはまります。
繊細な子は、親や周りのおとなのささいな言動にも人知れず傷つき、そのまま傷を放っておくと将来アダルトチルドレンになる確率が高いのだとわたしは考えています。
隠れアダルトチルドレンの厄介なところは、親の毒が微弱であるため、周りの人も自分も原因に気づきにくく、アダルトチルドレンの問題に向き合うのが遅くなりがちなところです。
なにを隠そうわたし自身もHSC生まれの隠れアダルトチルドレン(HSPAC)で、40近くになるまで、自分の生きづらさの原因が幼少期にあるなんて思いもしませんでした。
なのでもし、「うちの親は毒親なんかじゃない」と思っていらっしゃる人がいたら、「それでも自分は密かに傷ついていたのかもしれないな」と考えてみるといいと思います。
きっとひとつやふたつは思い当たることがあるでしょう。
隠れアダルトチルドレン(HSPAC)とは?
「微毒親+繊細な子(HSCなど)」の組合せでできるアダルトチルドレン。
繊細な子は、親や周りのおとなのささいな言動にも傷つきやすく、アダルトチルドレンになる確率が高い。
また、親の毒が微弱であるため、周りの人や自分でアダルトチルドレンの問題に気づきにくい。
足せば立派なアダルトチルドレン
ここまでご説明したとおり、「毒親育ちでなくてもアダルトチルドレンになるのか?」
の結論としては、「十分なり得る」です。
アダルトチルドレンになるからには、親はまったくの無毒ではなく、微弱な毒は持ち合わせていると思われます。(たとえ今は気づいていなくても!)
子どもが繊細な気質を持っていれば、微毒でも十分なダメージになり得ます。
アダルトチルドレンになる値が100だとすると、親の毒90と子の繊細さ10でもアダルトチルドレンになるし、逆に、親の毒10と子の繊細さ90でもアダルトチルドレンになるというわけです。
もちろん両方の値が高ければ、それだけ生きづらさの強いアダルトチルドレンになります。
また、隠れアダルトチルドレンの場合は、前述のとおり問題発覚も遅れがちなため、気づいたときには手の施しようがないくらいこじらせきってしまっているという恐れもあります。
隠れても隠れてなくてもインナーチャイルドケア
そして、アダルトチルドレンさんも隠れアダルトチルドレンさんも、改善方法はインナーチャイルドケアしかないというのがわたしの考えです。
特に、隠れアダルトチルドレンの方は、何か大きなひとつのトラウマ(単回性トラウマ)を持つのではなく、ジワジワ心が傷ついてきた人(発達性トラウマを持つ人)がほとんどですから、わたしがご提供しているインナーチャイルドケアが非常に有効だと考えています。
心の降り積もったトラウマの雪を解かすことができるのは、世界でたったひとり、あなただけなんです。
【まとめ】
●毒親とは、「子どもをひとりの人間として尊重せず、自分の意のままにコントロールしようとするなどを繰り返し、子どもの心を傷つける親」のことで、さまざまな種類が存在する。
●子どもが親の言うことを聞くように強制するタイプや何かにつけて「〇〇しなさい」と指示を出すコントロールタイプも毒親に含まれる。
●「微毒親+繊細な子」の組合せでできるアダルトチルドレンを「隠れアダルトチルドレン」と呼ぶ。(ICCM造語)
●繊細な子は、親のささいな言動にも傷つきやすいため、他の子ども以上に心に傷を負いやすく、アダルトチルドレンになる確率が高い。
●親の毒が少ない隠れアダルトチルドレンは、周囲も自分も気づきにくく、問題に気づくのが遅くなりがち。
●結論。毒親育ちでなくてもアダルトチルドレンになる可能性は十分にある!