ストレス反応の4F ~頭ではわかっているのに反応してしまう理由~
このページでは、インナーチャイルドケアメソッドにおける「ストレス反応の4F」について解説しています。
わたしたちの心と身体
頭では「たいしたことない」「危険ではない」とわかっているのに、心や身体がちぐはぐに反応してしまうことはありませんか?
- 子どもがかんしゃくを起こすと、イライラを抑えきれず大きな声で叱ってしまう。
- アドバイスをされただけなのに、否定されたように感じて、その場から逃げ出したくなる。
- 何か言わなければと思うのに、頭が真っ白になって言葉が出てこなくなる。
- 本当はイヤなことなのに、つい愛想笑いで引き受けてしまう。
こうした反応は、あなたの意志が弱いからではありません。
わたしたちには生まれつき、自分を守ろうとする機能が備わっていて、
ストレスを感じたときには、頭で考えるよりも前に、反応を起こしてしまうことがあるのです。
ここでいう「ストレス」とは、単に嫌だと感じることではなく、また命を脅かすような危機に限ったものでもなく、心や身体に負担や緊張がかかっている状態を指します。
ストレス反応の4F
わたしたちは、ストレスを感じると、自分を守るために、以下のような反応をします。
- FIGHT:相手を攻撃しようとする(闘う)
- FLIGHT:その場から離れようとする(逃げる)
- FREEZE:頭や身体がフリーズする(固まる)
- FAWN:相手に合わせようとする(迎合する)

ひとつずつ見ていきましょう。
①FIGHT:相手を攻撃しようとする(闘う)
FIGHTは、ストレスを感じたときに、対象となる相手や状況に対抗しようとする反応です。
たとえば、
- カチンとくる
- カッとなる
- 身体に力が入る
- 歯を食いしばる
- ひとこと言い返したくなる
- 相手を責めたくなる
- にらみつけたくなる
などの形で表れます。
ここでいう「闘う」は、実際に暴力を振るったり暴言を吐いたりするという意味だけではありません。
自分を守るために、相手を押し返したい、負けたくない、間違いを認めさせたいなどの思いを持つことも含みます。
相手を責める言葉が止まらなくなったり、あとで後悔するようなひと言を口にしたりするときには、このFIGHT反応が起きているのかもしれません。
②FLIGHT:その場から離れようとする(逃げる)
FLIGHTは、ストレスを感じたときに、その場や相手から距離を取ろうとする反応です。
たとえば、
- その場から立ち去りたくなる
- 話を早く切り上げたくなる
- 会わないように避けようとする
- 聞こえないふりをする
- 連絡を返さないようにする
- 考えなければならないことを後回しにする
などの形で表れます。
ここでいう「逃げる」は、実際にその場を離れる場合だけではなく、
気持ちを別のものへ向けることで、ストレスの対象から心理的な距離を取ろうとすることも含みます。
向き合いたくないことがあるときに、爆買いや爆食をしたり、スマホを見続けたりしてしまうのは、このFLIGHT反応が起きているのかもしれません。
③FREEZE:頭や身体がフリーズする(固まる)
FREEZEは、ストレスを感じたときに、頭や身体の動きが一時的に止まるような反応です。
たとえば、
- 身体が固く縮こまる
- 頭が真っ白になる
- うまく言葉が出てこない
などの形で表れます。
「固まる」と言っても身体が動かなくなるだけではなく、言葉が出てこない、頭が働かないなどの内面的なフリーズも含みます。
フリーズした場合、その場では言葉も感情も出てこなかったのに、あとになってから怒りや悲しみが湧いてくることもあります。
「あのとき、どうして何も言えなかったのだろう」と自分を責めたり後悔したりしてしまうなら、そのときこのFREEZE反応が起きていたのかもしれません。
④FAWN:相手に合わせようとする(迎合する)
FAWNはあまり耳慣れないかもしれませんが、日本語では「迎合する」という意味で、
ストレスを感じたときに、相手に合わせたりすり寄ったりすることで、対立や拒絶などの危険を避けようとする反応です。
たとえば、
- 愛想笑いをする
- 本心とは違うほめ言葉を口にする
- 相手の機嫌をとる
- 頼まれていない援助をする
- 相手の意見に同調する
- 必要以上に謝る
などの形で表れます。
犬が敵わない相手におなかを見せて、争う気がないことを示すように、相手に合わせることで、攻撃されないように身を守ります。
立場が上の人の前で必要以上に気をつかったり、本当は断りたい頼みごとを笑顔で引き受けたりするのは、このFAWN反応が起きているのかもしれません。
ICCMでは、これらを「ストレス反応の4F」として整理しています。
※ICCMで扱う「ストレス反応の4F」は、アメリカの心理療法士ピート・ウォーカー氏が、トラウマへの反応をFIGHT・FLIGHT・FREEZE・FAWNの4つに整理した「4Fモデル」を参考に、日常の中で起きる反応をICCMの視点で説明したものです。
ストレス反応に関しては、さまざまな分類があります。また、これらは医学的な診断名等ではありません。
混合型のストレス反応
ストレスを感じたときに、毎回ひとつの反応だけが起こるとは限りません。
たとえば、
- 言い返したいのに、言葉が出てこない。(FIGHTとFREEZE)
- その場から離れたいのに、笑顔で相手に合わせてしまう。(FLIGHTとFAWN)
- その場では相手に合わせていたのに、家に帰ってから怒りが収まらなくなる。(FAWNからFIGHT)
のように、複数の反応が同時に起きたり、短い時間の中で切り替わったりすることがあります。
また、
- 同じことを言われても友だちには同調するのに、パートナーには言い返す。
- 職場では忙しくても愛想よく過ごしているのに、家で余裕がないとイライラを家族にぶつけてしまう。
のように、相手や場面によって反応が変わることもあります。
あなたは、どんな場面でどんな反応をするでしょう?

子どもの頃の経験とストレス反応
ストレス反応は、危険から身を守ろうとして、誰にでも自然に起こるものですが、
同じできごとでも、それをどう受け取り、何を「危険」と感じて、どう反応するかには、
子どもの頃からの経験の中で身につけた「観念(無意識のルール)」が影響しています。
たとえば、
子どもの頃、失敗するたびに強く叱られていた人は、「失敗してはいけない」という観念を持ち、
おとなになってから仕事のミスを指摘されると、必要以上に怖くなって頭が真っ白になってしまうことがあります。
家族の機嫌がいつ変わるかわからない環境で過ごしていた人は、「人を不機嫌にしてはいけない」という観念を持ち、
おとなになってから不機嫌そうな人がそばにいるだけで、必死にご機嫌を取ろうとしてしまうことがあります。
幼い子どもは、ひとりでは生きられませんから、
養育者である親や周りの人の機嫌や言動が、自分の身の安全に直接かかわります。
そのため、子どもはすばやく「危険」を察知し、自分を守るための観念を身につけるのです。
そして、おとなになってからも、似たようなできごとに出会うたびに、
あの頃と同じようなストレス反応を繰り返してしまうのです。
子どもの頃に周囲の機嫌や反応を常に警戒しなければならない環境で育った人ほど、
相手の表情や声の変化をすばやく「危険」として受け取りやすくなります。
たとえるならこれは、感度の良すぎる火災報知器のようなものです。
キッチンで魚や肉を焼いただけで、すぐにアラートが鳴り響いてしまうように、
ちょっとしたアドバイスが否定に思えたり、何気ない無言が無視に思えてしまったりして、
頻繁にストレス反応を起こしてしまいます。
ストレス反応は、自分の身を守るために無意識に働く作用なので、理性ではコントロールが難しいのです。
あなたがやめたくてもやめられない、いつもの反応も、
子どもの頃からの経験が影響しているのかもしれません。
インナーチャイルドとストレス反応
このように、ICCMでは、おとなになってからの生きづらさの背景には、
子どもの頃からのストレス反応の繰り返しがあると考えています。
その繰り返しに深くかかわっているのが、潜在意識の中の「インナーチャイルド」です。
インナーチャイルドは、子どもの頃に身につけた「観念」を今も握りしめています。
目の前のできごとを、その観念を通して受け取るので、
相手が黙っているだけなのに「怒っているに違いない」と感じたり、
少し注意されただけで「嫌われた」と思ったりして、
実際以上に「危険」を察知し、アラートを鳴らします。
「怒っているかもしれないよ」
「嫌われるかもしれないよ」
「笑われるかもしれないよ」
「見捨てられるかもしれないよ」
このアラートが鳴ると、FIGHT・FLIGHT・FREEZE・FAWNなどのストレス反応が起こります。
こうした反応は、子どもの頃には、身近な人との関係の中で自分を守るために役立ってきたのかもしれませんが、
おとなになった今では、その反応が無意識に働くことで、かえって人間関係がこじれたり、自分の気持ちとは違う選択をしたり、やりたいことに踏み出せなくなったりすることがあります。
同じようなストレス反応を繰り返すことが、生きづらさにつながっているのです。
インナーチャイルドケアの役割
ここまで読んで、きっと多くの方が、「わたしにも思い当たる」と感じたのではないでしょうか。
それもそのはずです。
ストレス反応は、誰にでも備わっている、自分を守るための人間の本能的な機能であり、それ自体は決して特別なものではありません。
けれど、実際にはさほど危険ではない場面でも、心が揺さぶられてしまうようなら、その反応を緩めていく必要があります。
インナーチャイルドケア講座では、ストレス反応を力ずくで止めようとするのではなく、
インナーチャイルドが「なに」を危険だと感じているのかを理解し、心が揺れても安心して戻れる場所(ホームポジション)を育んでいきます。
心が揺れるたびにケアを重ねることで、繰り返してきた反応は少しずつ緩み、これまで強く反応していた場面にも、落ち着いて向き合えるようになります。
あなたのストレス反応は、決してあなたを苦しめるために起きているのではなく、
インナーチャイルドが何かを「危険」だと感じ、あなたに知らせてくれる大切なサインです。
ストレス反応をしてしまう自分を責めるのではなく、何を危険だと感じているのかを理解し、安心を取り戻していく。
その方法をお伝えするのが、インナーチャイルドケア講座です。
「わかっているのに、また同じことを繰り返してしまう」と悩んでいる方、
まずはインナーチャイルドケア入門講座で、その理由を一緒に見てみませんか。
入門講座は、オンラインで行うマンツーマンの120分です。あなたの話をうかがいながら、今の悩みがなぜ繰り返されるのかを一緒に読み解き、その奥にある観念を探すワークや、ケアの体験もしていただけます。
※この記事の内容について動画でも解説しています。本編は3:00ごろから始まります。