仲良し親子はご用心!共感と同調はちがうんです!
インナーチャイルドケアをするときに、多くの人が混同するのが、「共感」と「同調」です。
インナーチャイルドがあなたに求めているのは、「同調」ではなく、「共感」ですので、しっかり区別しておきましょう。
母親からの同調
幼少期に親から十分に感情共感してもらえないと、自己肯定感を育めず生きづらさを抱え込むというがわたしの考えですが、このことをお伝えすると「母親はけっこう共感してくれていたと思う」という方が少なくありません。
でも、その方お話を詳しく聞いてみると、ほとんどの場合が「共感」ではなく「同調」されていたにすぎないということがわかります。
たとえば子どもが母親に、
「今日学校で○○ちゃんに『変な髪形』って言われたんだよ。ひどくない?超むかつく!!」
と言ったとします。
それに対して母親が、
「えー。○○ちゃん、めっちゃひどいね。失礼しちゃう!むかつくー!」
と返すとこれは「同調」です。
親が子どもの調子に合わせて一緒に怒っている状態ですね。
「同調」すらしてもらえなかった人にとっては、こんな会話ができるなんて仲良しでうらやましいと思うかもしれませんが、これは「友だち親子」にありがちな母子共依存傾向が見られます。
他人を悪く言うことで一瞬スッキリするし、母子の結束は強まりますが、子どもの自己肯定感を育むことはできません。
こんな風にしておとなになると、実家を出ても母親と頻繁にやり取りして、四六時中周りの人の愚痴や文句を言い合うような関係になりがちです。
結婚しても、お互いの旦那さんへの不満をお茶菓子にして、母子トークに花を咲かせるなんてことにもなりかねません。
いつまで経っても親離れ子離れせず自立できないため、自分の人生を歩んでいくことが困難になります。
共感と同調のちがい
「共感」と「同調」は似ているようでちがいます。
- 共感:相手の気持ちに寄り添うこと
- 同調:相手に調子を合わせること
です。
(辞書や文献によって語意は多少異なりますが、わたしはこう使い分けています。)
先ほどの母子の会話を「共感」でするとこうなります。
子:「今日学校で○○ちゃんに『変な髪形』って言われたんだよ。ひどくない?超むかつく!!」
母:「そっか。そんなことがあったの。それは悔しかったね。お母さんはその髪型とてもよく似合ってると思うよ。」
先ほどとのちがい、おわかりになりますか?
母親は、一緒になって怒ったり相手を非難するのではなく、子どもの感情に「○○だったんだね」というように寄り添っています。
このように声掛けをすることで、子どもは母親にわかってもらえたことで安心すると同時に、自分は悔しいから怒ったんだ、というように怒りの奥にある本当の感情に気づくことができます。
また、お母さんに肯定してもらうことで自分には味方がいるのだと思え、「わたしはわたしのままでいい」という感覚(=自己肯定感)を育んでいくことができます。
残念ながらただ一緒に怒ったりするだけの「同調」ではこの感覚は育ちません。
子を仲間として囲い込むのではなく、自分で自分を肯定できる人に育てるのが親の役割なのです。
あなたのお母さん、同調だけになっていませんでしたか?
ガールズトークは同調になりがち
女性同士の会話は、「同調」になりやすいです。
「わかるー」「なにそれー」「ありえなーい」
こんな風に相手の調子に合わせて、やいのやいのやるのはけっこう楽しかったりもします。
これは「わたしはあなたと同じ考えです」と表明することで、仲間意識を強める効果があるからです。
(女性にこの傾向が強くみられるのは、狩猟採集民社会で男性が狩猟を、女性が採集の役割を担っていたからだとも言われています。女性は社会の中で周りの人とうまくやっていくことの大切さが脳に刻まれているというわけですね。)
でも、同調しないとその輪に加われないような側面もあり、女性同士の人間関係で苦労されている人も多いですよね。
わたしのお客さまは口を揃えて「女子の集団が苦手!」とおっしゃいますが、これは暗に「同調」を求められることへの息苦しさからきているのではないかと思います。
自分の本音を封印して、「同調」しなくてはいけないのはたしかにしんどいですよね。
同調を求められる空気の中で苦しいときは、「共感」を意識されるといいと思います。
一緒に悪口を言って盛り上がるのではなく、「○○だと思うんだね。」「○○が嫌だったんだね。」「そっか。それは悔しかったよね。」という風に、相手の感情に寄り添うような声掛けをすることで、同調するでも反論するでもなく、穏やかに会話を運ぶことができるようになるのでおすすめです。
それでも同調圧力がしんどいときは、自分が疲弊しないように距離を取ることも大切ですね。
インナーチャイルドケアでも共感を
わたしの講座でお伝えするインナーチャイルドケアにおいても、「同調」ではなく「共感」を意識していただきます。
嫌なことがあったとき、誰かに対して怒りを覚えるとき、自分に対してどれほど共感的に接することができるかが大切です。
たとえば上司に叱責されたとき、
インナーチャイルド:「なんであんな言い方するの!ひどい!一生懸命やったのに!」
あなた:「それは怖かったね。一生懸命やったのにわかってもらえなくて悔しかったんだね。」
という具合です。
ここでインナーチャイルドの気持ちに「同調」してしまい、「あの上司ホントむかつく!うざい!嫌い!」なんて言い続けると、怒りが収まらなかったり、ぐるぐる思考にハマってしまったりします。
もちろん人間ですから怒ることもありますが、怒りに翻弄されていることに気づいたら、いったん深呼吸して「共感」を意識してみてください。
あの日お母さんにしてもらいたかったように、自分の感情にしっかりと「共感」して寄り添ってこそ、癒しになるのです。
インナーチャイルドに声をかけるときには、「同調」ではなく「共感」できているかを意識してみてくださいね。
まとめ
●共感は、相手の気持ちに寄り添うこと。同調は、相手に調子を合わせること。
●子どもの自己肯定感を育むには、「同調」ではなく「共感」することが大切。
●親から共感の声掛けをしてもらうと、子どもはわかってもらえたことで安心すると同時に、本当の感情に気づくことができる。また、自分には味方がいるのだと思え「わたしはわたしのままでいい」という感覚(=自己肯定感)を育める。
●ガールズトークは「同調」を求められがち。しんどいときは「共感」を意識し、適度な距離を取ろう。
●インナーチャイルドケアにおいても大切なのは、同調ではなく共感。インナーチャイルドの感情に翻弄されず、しっかりと共感することで癒しが進む。