インナーチャイルドケアは一世一代の大仕事
わたしたちが生きづらさの連鎖を断ち切ろうとするとき、「自分が親にしてもらっていないことを自分自身にする」+「自分が親にしてもらってないことを他人にする」という二重の苦労が伴います。
だからたいていの人は変われないし、あきらめてしまう。
この一世一代の大仕事を乗り越えた人だけが、ホントの幸せを手にできるんじゃないかなって思うんです。
自分がしてもらってないことをするということ
おおきな問題もないのに生きづらさを抱えて生きている人はたいてい、幼少期に親からの共感やスキンシップを十分に受けてこなかった人です。
- 何か言えば否定される
- 一生懸命訴えてもまともに相手にしてもらえない
- 共感ではなく同調される
- 言ってもムダだとあきらめている
- 逆に親から共感を求められる
こんな風に親から子への愛情をしっかりと享受してこなかった人は、おとなになってからもありのままの自分を肯定する力(=自己肯定感)が備わっておらず、生きづらさを感じることになります。
本来、親から子への愛情は、「無条件」でなくてはなりません。
- 他のきょうだいの次に
- いい成績を取ったら
- お手伝いをしてくれたら
- 余計なことをしないでいてくれたら
- わがまま言わないでくれたら
こんな風に条件付きで愛されていても、本当に愛されたことにはなりません。
「あなたが今、ここに存在していてくれることが無条件で愛おしい。」
そのように愛されなければ、子どもは愛情不足なのです。
そんな愛情不足の子どもたちがやがておとなになり、社会に出たり、家庭を持ったりして、自分以外の誰かと関わるとき、自分がしてもらってないことを誰かにしなくてはならない場面に遭遇すると、ひどく混乱するというわけです。
- もっとパートナーの痛みに寄り添わなくては
- もっと部下の悩みに親身にならなくては
- もっと子どもに愛情深く接しなければ
- もっと人に優しくならなければ
そう思ってもできない。
そうしたくてもできない。
という状態に陥ります。
そりゃそうだ。
だって、自分の辞書のどこを見ても「無条件で愛する」という文字が見当たらないのですから。
なんとなく言葉は知っていても、実際にされたことがないのに、他人にするなんてできないのです。
それでもがんばっている
それなのにみなさんは、日々どうにかこうにか工夫をして、人と関わり続けてる。
何もかも投げ捨てて、遠くに行ってしまいたい。
ふとした瞬間にそんな風に思うことはあるかもしれないけれど、それでもやっぱり今日も、満員電車に揺られたり、誰かのために食事の支度をしたりしている。
それはもちろん、自分のためでもあるけれど、やっぱり関わる人のことを想ってる。
誰かに嫌な思いをさせないように、会社の人間関係が良くなるように、子どもに自分みたいな思いはさせないように。
どうにかこうにか人との関係を保とうとがんばっている。
無条件とはいかないまでも、できるだけこちらから与えるように、奪わないように、細心の注意を払いながら。
でも、うまくいかないから苦しい。
もっと優しい人になりたいと思うけれどできない。
つい自分の思いどおりにしたいと思ってしまう。
無条件で愛したいけど愛せない。
いつも見返りを求めてしまう。
そんな葛藤の中で生きているんですよね。
それってめちゃくちゃしんどいことですが、逆にめちゃくちゃ尊いことでもあると思うんです。
自分がされてこなかったことを人にしてあげようだなんて、そう思えるだけで、本当にすばらしいことだとわたしは思うんです。
順番が大事
でも、そんなに苦しまなくても、もっと楽に人に優しくなれる方法はあります。
それは、先に自分自身を無条件で愛するということ。誰よりもまず自分自身に優しくなることです。
愛情不足で育った人は、先に自分が満たされることが必要なんです。
自分の喉がカラッカラなのに、「そのお水ちょうだい」と言われて気持ちよく差し出せるハズがないですよね。そんなのあたりまえです。
だから、今すぐに人に優しくできないことで自分を責めたりする必要はありません。
自分の中にいる、愛されたかった子どものままの自分(インナーチャイルド)の存在を認め、最優先で愛情を注ぎ、慈しみ育てることをしてください。
インナーチャイルドケアを飛ばして、いきなり人に優しくしようと思っても苦しくなるばかり。
まずは、自分。次に周りの人。
インナーチャイルドのコップがあなたの愛情で満たされれば、無理なんかしなくてもがまんなんかしなくても、自然と人に優しくなれます。
そうなれば、あらゆる人間関係は、そんなにがんばらなくても穏やかなものに変わっていくのです。
理不尽なのはわかります
でも、考えてみたら、ちょっと理不尽な気持にもなりますよね。
自分は無条件で愛してもらえなかったのに、自分で自分を愛さなくてはいけない(インナーチャイルドケアをしなくてはいけない)うえ、人のことも愛するようになろうだなんて。
そもそも親がちゃんとわたしに愛情を注いでいてくれたら、わたしこんなに苦労しなかったのに。
そう思うお気持ちは、めっちゃわかります。
わたし自身も長らくそう思っていました。
でも、今はこう思います。
これは、わたしにだからこそ課せられた、一世一代の大仕事なのだと。
親にも祖父母にもできなかった負の連鎖を断ち切るという大仕事を、わたしが担っているのだと。
それができるのは限られた人で、こんな尊い仕事を任されてるのは、めっちゃすごいことなんだ。だからこの機会が与えられたことに感謝し誇りをもって、自分で自分を癒していこう。
そう思ってます。
それにやってみると、インナーチャイルドケアってめっちゃ楽しいことなんです。習慣になるまではちょっと大変ですが、それを乗り越えればちっとも大変なことではありません。
いつまでも親を恨んでても、誰かに親代わりに癒してもらいたいと思ってても、人生は変わらないんです。
この尊い仕事を引き受ける覚悟を決めて、インナーチャイルドケアをしたら、その先に特別な景色が広がっています。
親や祖父母には見ることができなかった特別な景色です。
その景色を見るかどうかを決めるのは、あなた。
一度きりの今世をどう生きるか。それはあなたが選べることなんです。
自分で自分を癒すと決めた人を、わたしはいつでも全力で応援したいと思っています。
インナーチャイルドケアは、限られた人に託された一世一代の大仕事。
一緒に向き合ってみませんか?
まとめ
●愛情不足の子どもたちがおとなになり、社会に出たり、家庭を持ったりして、自分以外の誰かと関わるとき、自分がしてもらってないことを誰かにしなくてはならない場面で混乱する。
●もっと人に優しくしたい、無条件で愛したい、そう思ってもできなくて苦しむことになる。
●それでもどうにか人間関係を良くしようと葛藤していることはすばらしいこと。
●だけどそんなに苦しまなくても、先に自分を癒すことができれば、自然と他人への優しさや愛情が生まれてくる。
●まずは、自分のインナーチャイルドケアをすることが最優先。インナーチャイルドが満たされていない状態で他人に優しくすることは難しい。
●「そもそも親がちゃんとわたしに愛情を注いでくれていたら」と理不尽な気持になるのはごもっとも。でもインナーチャイルドケアで負の連鎖を断ち切ることは選ばれた人の仕事。自分はそれを任されているのだという誇りを持とう。
●インナーチャイルドを癒すと、その先に特別な景色が広がっている。
●その景色を見るかどうかは、あなたが選ぶことができる。