頭ではわかっているのに、なぜ変われないのか? ~「わかっている」と「変われる」の間にあるもの~
わかっている、でも○○してしまう
あなたは、
頭ではわかっているのに、どうしても○○してしまう
ということ、ありませんか?
頭で考えていることと、心の反応がちぐはぐで、自分のことなのにコントロールできない感じ。
たとえば、
子どもがかんしゃくを起こすと、
「子どもだから仕方ない」と頭ではわかっているのに、
イライラを抑えきれず大きな声で叱ってしまう。
上司に指摘をされて、
「これはわたしのために言ってくれている」と頭ではわかっているのに、
否定されたように感じて深く落ち込んでしまう。
係や役員を決めるとき、
「無理に引き受けなくていい」と頭ではわかっているのに、
頼まれると断りづらくてつい引き受けてしまう。
夜、今日あった嫌なことを思い出して、
「これ以上考えても仕方ない」と頭ではわかっているのに、
ベッドの中でぐるぐると考え続けてしまって眠れなくなる。
誰かに相談しても、AIに相談しても、きっとこう返ってくるでしょう。
「そんなに気にしなくていい」
「自分を大切にしよう」
「完璧じゃなくていい」
ぜんぶド正論。
そんなことわかっている。
でも、実際に何かが起きると、気にしないなんてムリ。
それどころか、
頭でわかっているのに、何度も同じ反応をしてしまうから、
「またやっちゃった」「どうしてわたしはいつもこうなんだろう」
なんて、余計に自分を責めてしまう。
そんなことを繰り返してはいませんか?
わたしたちは、なぜ、自分のことなのに、こんなにも反応をコントロールするのが難しいのでしょう。
どうしておなじことを繰り返してしまうのか
その理由は、わたしたちが持っている「観念」にあります。
「観念」というのは、あなたが子どもの頃から身につけてきた、「無意識のルール」のことです。
たとえば、
- 人の役に立たなければ価値がない
- 完璧でなければならない
- わたしさえがまんすれば丸く収まる
- 嫌なことを断ると嫌われる
- お金がないと恐ろしいことになる
のようなこと。
子どもにとって、生まれ育った家庭は、最初に接する小さな社会。
そこで、
- 家族の誰かが、よく言っていたこと
- 自分が、よく言われていたこと
- 言われてはいないけれど、求められていると感じていたこと
- 家族の中にある暗黙の了解
そんなものを見聞きしたり、感じ取ったりしながら、
「こうしておいたほうがいい」
「こうしてはいけない」
「こうしていれば大丈夫」
という生きるためのルールを少しずつ身につけていきます。
そのルール、ひとつひとつが「観念」です。
そして、それを寄せ集めてできあがっていくのが、自分だけの「ルールブック」です。
さて、あなたのルールブックには、いったいどんなことが書いてあるでしょう?
今のあなたは、何に従って生きているのでしょう?
観念については、こちらの記事で詳しく説明しています。

なぜ、頭でわかっても観念はゆるまないのか
この記事を読んでいらっしゃる方の中には、
これまでカウンセリングやセラピーを受けたり、
心の仕組みについて勉強したりしてきた方も少なくないでしょう。
いろいろ調べたり学んだりする中で、
「今の生きづらさには、子どもの頃から身につけてきた思い込みやルールが関係しているのかもしれない」
と、うすうす気づいている方もいらっしゃるかもしれません。
実際、わたしの講座でも、
「子どもの頃のことがなにか影響しているかもしれない。
でも、これまでいろんなことを試してきたけど、結局変われませんでした」
とお話しされる方がいます。
今の生きづらさに、子どもの頃から身につけてきたルール(観念)が関係していると気づいていて、
その考え方を変えようと努力してきたのに、それでも変われないのはなぜでしょう。
それは、
「観念」が、ただの思い込みや頑固な価値観ではなく、
「子どもの頃のあなたを守るために必要なルール」だという大切な視点を、見落としてしまっているからです。
たとえば、
いつも家族のために尽くして疲れているお母さんを見て、
「人の役に立たなければ価値がない」
と思うようになったり、
失敗したときに強く叱られた経験から、
「完璧でなくてはいけない」
と思うようになったり。
不機嫌な家族に八つ当たりばかりされていたら、
「わたしさえがまんすれば丸く収まる」
というルールを身につけることもあるでしょう。
ルールブックに書かれていることは、
家族という小さな社会で、まだ小さなあなたを守り、周りの人との関係を保つための、いわば命綱だったのです。
それを抱えたままおとなになっているのが、今のあなた。
もうとっくに身体はおとなになっているし、
子どもの頃とは環境も違うし、自分で選べることも増えている。
でも、あなたの中のインナーチャイルドは今も、
ルールブックに書いてあることを守らなければ、「危険」だと信じているから、
今の自分がそこから外れようとすると、必死に抵抗するのです。
そんなインナーチャイルドに対して、
「気にしないようにしよう」「もっと強くなろう」と働き掛けるのは、
力づくで、命綱にしているルールブックを取り上げようとしているのと同じ。
変わりたい自分と、変わることを怖がるインナーチャイルドが綱引きをしてしまうから、
変化が進まないのです。
そして、わかっているのに変われないからこそ、自分を責めて、かえって苦しくなってしまうのです。
変わるために必要なこと
ここまでお読みいただき、
「観念」を自分を煩わせる迷惑なルールだと考えて、無理に変わろうとするだけでは、
うまくいかない理由が、見えてきたのではないでしょうか。
「観念」は幼かったあなたが、自分を守るために作ってきた大切なものであるという理解こそが、
変化のスタート地点です。
頭ではわかっているのに、どうしても○○してしまう
そんなときこそ、自分がどんな感情を抱えていて、どんな観念を持っているのかに意識を向ける。
「そんなときもあるよ」「次は気を付ければいいよ」などとただ慰めるのではなく、
自分の本当の思いに気づいて、愛情深く寄り添うことが、インナーチャイルドの心をほぐし、ルールブックを強く握りしめる手をゆるめていきます。

ただ、
自分の本当の気持ちに気づくことって、案外難しいものです。
わたしたちは、長年の習慣で、
自分でも気づかないうちに、ぐるぐる思考におちいって、感情を置き去りにしてしまうからです。
問題が起きればつい、
「どうしてあの人はあんなことを言ったんだろう」
「わたしの何が悪かったんだろう」
「もっとこう考えればいいのかな」
「気にしないためには、どうしたらいいんだろう」
と、考える。分析する。理由を探す。正解を探す。
そんなことを繰り返しているうちに、自分が本当は何を感じているかが見えなくなって、
インナーチャイルドが取り残されてしまうのです。
だから、インナーチャイルドケア講座では、
あなたのことをたくさん教えてください。
まずはわたしが、
あなたのお話はもちろん、言葉にならないたくさんの要素にもつぶさに意識を向けながら、
まだあなた自身でも言葉になっていない思いを、丁寧にすくいあげていきます。
それを一緒に見て、さらに対話を重ねることで、
まだ癒されていない感情が見つかったり、
思いもよらないところで観念を握りしめていることに気づいたり、
もうすっかり忘れていた痛みを思い出したり、
だんだん解像度が高まり、インナーチャイルドの声が聴けるようになっていきます。
そんなことを繰り返して、
自分の内側にある感情をケアし、どうしてその観念をゆるめられずにいるのかを理解していくことで、
インナーチャイルドとの信頼関係が築かれていきます。
そうして、インナーチャイルドが自分の中で安心していられるようになると、
ルールブックを握りしめる手も、少しずつゆるんでいき、
頭ではわかっているのに、どうしても○○してしまう
状態から抜け出していくことができるのです。
「知る」の次へ
いろんなことに興味を持って学ぶのは大切なことです。
知ることで、視野が広がり、今までとはちがった捉え方ができるようになることもあると思います。
でも、もしあなたが変化に停滞感を感じているなら、
そろそろ、知識を増やしたり、知ったことを自分なりに試したりするだけでは、
進みにくいところまで来ているのかもしれません。
次に取り組むことは、
自分でもまだ気づいていない、本当の思いを聴けるようになること、
そして、その思いを受け止めて、ケアできるようになること。
「わかっている」を、「できる」に変えていくことです。