そろそろ「過剰適応」について考えてみよう!
「過剰適応」という言葉聞いたことがありますか?
周りに合わせて「過剰」に「適応」してしまうことを言います。
そのまま無理を続けてしまうと、うつ病やパニック障害などを引き起こす可能性だってあります。
過剰適応とは?
「過剰適応」という言葉、最近あちこちで聞かれるようになりましたね。
認知が広まることで、無理をしすぎる前に気づくことができる人が増えたらいいなと思っています。
まずは、その言葉の意味について改めて確認しておきましょう。
前提として、「適応」には、「外的適応」と「内的適応」があります。
- 外的適応:外側(社会)の要求(モラル・ルール・マナーなど)に応じることで他者から受容され、精神的な安定を図ること。
- 内的適応:自分の内側からの要求(快感・幸福感・満足感)に応じることで自己受容をし、精神的な安定を図ること。
どちらも人間が生きていくうえで大切な「適応」であり、両者のバランスが取れていることが健全な状態です。
このバランスが崩れ、「外的適応」に偏りすぎて「内的適応」が軽視されている状態を「過剰適応」といいます。
つまり、無理して社会に合わせすぎている状態のことです。(自己犠牲)
過剰適応:自分の内側(精神的な快感など)を軽視して、過剰に外側(社会)に合わせている状態。
- 相手の機嫌を損ねないように気を付けている。
- 周囲の期待を裏切らないようにがんばっている。
- 人から注意や批判をされないように気を張っている。
- 悪いことが起きると、自分のせいだと思ってしまう。
こんな人は要注意です!
過剰適応のサイン
そして、こんな心身症状が出ている方は、すでに過剰適応になってしまっている可能性があります。
- なんとなく気分が落ち込む
- いまいち楽しめない
- 倦怠感・疲労感がある
- 食欲不振
- 眠れなかったり、眠りすぎたりする
- 頭痛・めまい・肩こり
- 動悸
- 胃腸の不調
そのままにしていると「うつ病」や「不安症(パニック障害)」などさまざまな問題を引き起こしかねません。
ちょっとでもおかしいなと感じたら、無理をやめ、早め早めに休息をとることが大切です。
思わぬ疾患が潜んでいることもありますので、必要に応じて病院で診察を受けてくださいね。
新生活と過剰適応
4月に新生活がはじまり数か月経ったころに、この症状が出始める人も多いです。
はじめの数か月は、「がんばろう!」「楽しもう!」などと意気込むあまり、無理をしてがんばりすぎていることに気づけず(ハイ状態)、しばらく経ってから心身に症状が出始めるパターンです。
子どもにもこのパターンはしばしばみられ、新年度楽しそうに登園・登校していたのに、GW明けに突如行けなくなってしまうような子は、休んだことが原因ではなく、その前に無理しすぎて過剰適応になっていることが多いのです。
過剰適応になりやすい人
過剰適応になりやすい人には以下のような傾向があります。
HSP・HSC
HSP(Highly Sensitive Person)やHSC(Higly Sensitive Child)と言われる、ひといちばい繊細な人たちが、この筆頭です。
HSP(HSC)は脳の神経細胞であるミラーニューロンの働きが活発なので、相手の気持ちを読み取りやすく、相手の要望に合わせよう、期待に応えようと無理をしてしまいがちです。
人に迷惑をかけまいと適度に休むことも苦手な人が多く、無理をし続けてしまい、突然出社(登園・登校)できなくなるようなケースも多くあります。
発達障害・発達凸凹
ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉スペクトラム症)・LD(学習障害)など、生まれつき脳の発達に凸凹がある人やそのグレーゾーンの人は、社会や家庭で周りの人と同じような言動を求められることにより、無理をして過剰適応になってしまいやすいです。
発達に凸凹のある人に他の人と同じ言動を要求することは、凸凹型を丸い円に無理やりハメようとするような強い力がかかるため、他の人が社会に適応するよりさらに大きな負担がかかり、過剰適応になりやすいです。
発達障害の二次障害として、過剰適応が引き起こすうつ病やパニック障害などになる人も多く、周囲の理解がとても大切です。
自己肯定感の低い人
自己肯定感の低い人は、自分に自信がなく周りに合わせようとしてしまうので、過剰適応になりやすいです。
わたしのお客さまであるアダルトチルドレンがこれにあたりますが、その中でも特に幼少期から親や先生に「いい子」「優等生」「優しい子」でいることを期待され、無理をし続けてきた人は、過剰適応になりやすいです。
期待に応えねばならないと自身を追い込んでしまいやすく、また周囲の機嫌を損ねないよう合わせ過ぎてしまい、過剰適応になってしまうケースが多く見られます。
アダルトチルドレンは、HSPや発達障害と併発している場合も多いです。
いかがでしょうか?
あなたやご家族にも心当たりがありますか?
過剰適応は段階を追って悪化する
わたし自身の経験やクライアントさんの様子を見ていると、過剰適応は、段階を追って進行していきます。
- 社会に合わせようとする(内外適応バランスが崩れはじめる)
- 気づけず無理をしてしまう(ハイ状態)
- 気づいてもやめられず無理を続けてしまう(過剰適応)
- うつ病やパニック障害などになる
※③で気づけないまま、④になってしまう人もいます。
重要なのは、「初期段階でいかに早く過剰適応気味であることに気づいて無理をやめられるか」です。
心身の症状が出始めてからでは回復するのが大変なので、早め早めの対処が重要です。
気づいても何もせず無理を続けてしまえば、そのうちガタがきます。
必要に応じて、病院の診察を受けるなども検討しましょう。
子どもの過剰適応に気を付けよう
ご自分のことももちろんですが、お子さんやご家族にも「過剰適応」の傾向がないかチェックしてみてください。
特に、前述のHSCや発達凸凹のあるお子さんは、ひといちばい過剰適応になりやすい傾向があるので、注意が必要です。
わかりやすい特徴は、外では問題なくいい子なのに、家で癇癪を起す・暴言を吐く・暴れるなどの荒れ言動が見られる場合。
外でがまんしていい子をやっている分、家でわがままを言いたくなるのはある程度致し方のないことですが、おとなの期待に応えようと必要以上に無理をし過ぎておおきなストレスをため込んでいる可能性もあります。
親から見るとわがまま放題に見えるのに、園や学校から「なんの問題ありません」「いい子です」なんて言われてしまう場合は、過剰適応になっているかもしれません。
荒れてるからといって、成績などで小言を言ったり、生活態度に口うるさく干渉するのはNGです。
「いい子」「できる子」を期待せず、子どもができるだけ自然体でいられるように見守っていただけたら。
心配があれば、スクールカウンセラーさんや病院などに相談してみるのも良いでしょう。
過剰適応の予防方法
それでは、みなさんの過剰適応を未然に防ぐにはどうしたらいいか。
過剰適応になっていると気づいたらとにかく休息が大切ですが、心身に症状が出る前に少しでも予防できたらいいですよね。
わたしのおすすめはやっぱり、インナーチャイルドケアです。(手前味噌ですみません;)
なぜなら、インナーチャイルドケアは、まさに「内的適応」をすることだからです。
おわかりのとおり、現代社会の中で「外的適応」を減らすのは容易なことではありません。
周りに合わせることを放棄すれば、会社の組織がうまく回らなかったり、家庭内の秩序が保たれなかったり、きっとどこかで問題が起きます。
また、自己肯定感の低い方がいきなり外的適応を減らそうとすると、どうしても自分の気持ちに嘘をついたり気を張らなければいけなくなるので、余計に負担がかかります。
だから、外的適応を減らすことに意識を向けるのではなく、インナーチャイルドケアによって内的適応を増やすことにより、自然な形で内外の均衡を保てるようにしていくことが大事だとわたしは考えています。
自分自身の自己肯定感と自分軸を育て、「ありのままの自分で大丈夫」という感覚を育めてこそ、はじめて「外的適応」を手放すことができるんです。
わたしも過剰適応の傾向があり、心身共につらい時期もありましたが、インナーチャイルドケアをしてきたおかげで、驚くほど改善しました。
自分の内なる声(インナーチャイルドからの訴え)に耳を傾け、感情をつぶさに拾い上げ、自分に寄り添って生きていくことで、自然と自己受容ができ、内的適応が拡大していくはずです。
もしよかったらインナーチャイルドケアのコツをお伝えしますので、入門講座にお越しくださいね。