見捨てられ不安が強い理由と克服方法(見捨てられ不安タイプ)
このページでは、各種「不安タイプ」のうち、見捨てられ不安タイプについて解説します。
幼少期に親に見捨てられる恐怖に怯えていた人は、おとなになっても好意を寄せる誰かから見捨てられることに強い恐れを抱きます。
見捨てられ不安タイプ
こちらのタイプの方は、その名のとおり見捨てられ不安が強く、特に、パートナーや家族・友人・直属の上司など、自分との関係が近い人に対して、「見捨てられたくない」という強い執着心が生じます。
見捨てられないために手段を択ばず、自己犠牲をしてまで盲目的なほどに相手に尽くしたりします。
不安感は一定でなくムラがあり、月経周期をはじめとするホルモンバランスの変化、住環境の変化などによる影響も受けやすいタイプです。
理想化と脱価値化
このタイプの方は、「理想化と脱価値化」を繰り返す傾向が見られます。
<理想化>
- 「この人すごい」「この人ならわかってくれる」「この人なら大切にしてくれる」と感じた人を、過度に誇大視して評価する。
- 理想化した相手は「あばたもえくぼ」で、欠点がまったく見えなくなるほどのめりこむ。
- 相手にどんな欠点があろうとも、その人があたかも世界一すばらしい存在であるかのように思えてならない。
- その人の言うことにはとことん従順。言われたことすべてが正しいと思い込む。
- 恋人や友だち、先生や医師、上司、占い師やカウンセラーなどを対象にしがち。
<脱価値化>
- 自分以外の誰かを大切にしているのを見ると強烈な嫉妬ののち、相手の欠点を探し出す。
- 他に崇拝できる人が見つかると、自分も周りも驚くほど一気に冷める。
- 「自分を大切にしてくれない」「期待に応えてくれない」とわかると怒りののち、手のひら返しで幻滅する。
- 「あばたもえくぼ」が「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」に変わり、すべてに好感が持てなくなる。
- いくら相手のいいところを見ようと思っても感情がついていかない。
こんな具合に、相手を教祖さまのように慕い崇めていたかと思えば、ちょっとしたことで強い嫌悪感を抱くようになってしまう不安定さが特徴です。
たとえば、
誰かともめたときに、神格化している友だちに相談したら「あなたの言い方もまずかったかもよ」なんて冷静なアドバイスをされたことでスイッチが押されて「あなたも敵なのね!」ってブチ切れちゃったり。
今のパートナーよりもっと自分のこと大切にしてくれそうな人を見つけた瞬間にスイッチが押されて、急に今のパートナーが生理的に受け付けなくなったり。
芸能人のファン心理や、宗教・占い師などへの陶酔も、これに近いものがあったりしますね。
感情のコントロールが利かず、一時の思いでせっかく築いた関係をぶち壊してしまう人も多いです。
相手の人は、昨日まであんなにちやほやされていたのに、なぜ急に突き放されたのか意味もわからず、戸惑うばかりなんてこともあります。
ちなみに、わたしのような心を扱う仕事をしている人間も、よくこのパターンでクライアントさんから嫌われます(日常茶飯だよw)。
見捨てられ不安の理由
では、どうしてこのように強い見捨てられ不安を抱いたり、急に幻滅してしまったりするのか。
それは、あなたがまだ幼いころに見捨てられる恐怖に怯えていたからです。
- きょうだい間で差別を感じていた
- 否定されることが多かった
- あまり感情を受け止めてもらえなかった
- 自分にとっては重要なことでも軽くあしらわれた
- 母親の気分にむらがあり不安定だった
- スキンシップが少なかった
- 家族が不仲で、両親が離婚するのではないかと感じていた
- 実際に両親のどちらかとの離別があった
- DV・ネグレクトなどがあった
あてはまることはありませんか?
問題の大小に関わらず、環境や個人の感受性の高さなども加味して、その人が実際に「見捨てられる恐怖」を感じていたかどうかが焦点です。
実際には両親が健在であっても、いつもけんかしているのを見ていたり、会話のない冷たい関係だったりした人は、「お母さん(お父さん)はいつかわたしを置いて出て行ってしまうかもしれない」などと考え、見捨てられ不安を抱きやすくなります。
また、HSC(ひといちばい繊細な子)などは、家庭内の不穏な空気を感じ取る力に長けているため、些細なことがダメージになったりもします。
このように、愛着形成が十分にできておらず、親から無条件で愛されているという「安心感」が不足していると、おとなになってからも身近な人に対して「見捨てられ不安」が強く生じます。
他人に必要以上に執着してしまうのは、安心感を求め、相手を母親代わりにして依存している状態ということです。
この人なら幼少期にもらえなかった安心感を与えてくれるのではという幻想を抱くのです。
そして、他に母親代わりの最有力候補が見つかれば、自分でもびっくりするくらいの速度で冷めてしまいます。
そのときには、もっともらしい理由を捻出しますが、ただ「この人お母さんじゃない!」「こっちの人の方がいい!」となっただけなのです。
これが、見捨てられ不安タイプの人が「理想化と脱価値化」を繰り返す理由です。
見捨てられ不安とパーソナリティ障害
見捨てられ不安タイプは女性にとても多いです。
アダルトチルドレンのケアテイカータイプ、クラウンタイプによく見られます。
特に恋愛依存になってしまう人や、宗教・スピリチュアル・特定の有名人などに陶酔してしまう人は、この傾向が強いと言えます。
見捨てられ不安タイプの人がその状態を悪化させると、「境界性パーソナリティ障害(BPD)」などと診断されることがあります。
もし今、強い不安感や孤独感を感じたり、心身症状がある場合には、迷わず専門医を受診してください。
また、月経周期や更年期など、ホルモンバランスにより不安定さが顕著に出る場合には、婦人科を受診されるのもおすすめです。
MSDマニュアルによると、境界性パーソナリティ障害は「しばしば内心で感じているより安定しているようにみえます。」とあり、周りの人にはわかりづらかったりもします。
放っておくと症状は悪化の一途をたどりますので、早め早めの行動をお願いします。
そして、傾向が見られる程度の予備軍の方もぜひ今のうちに対処をしておくことをおすすめします。
まだ大丈夫と思って放置していると、医療の手を借りずに立ち直るのが難しくなってしまうこともありますので、余力のあるうちにしっかりと向き合っておいていただけたらと思います。
見捨てられ不安の克服
残念ながら、おとなになったあなたの母親代わりになってくれる他人など存在しません。
たとえパートナーであっても、あなたの保護者ではありません。
盲目的な依存を続ければ、相手の負担になり、いずれ離れていくことでしょう。
見捨てられ不安を克服するためには、他人に依存せず、自分で自分の中に安全基地を持つことが重要です。
わたしがお伝えしているインナーチャイルドケアメソッド(ICCM)では、ご自分の中にインナーマザーとインナーチャイルドという母子関係を確立し、幼少期に不足していた「安心感」をインナーチャイルドに与え続けることで見捨てられ不安を解消していくことを目指します。
インナーチャイルドが安心感を獲得するにつれ、外に「母親代わり」を求める必要がなくなるため、過度に人を神格化したり依存したりすることがなくなります。
そうすることで理想化と脱価値化といった極端な白黒施行にならず、適度な距離感で人と繋がれるようになっていきますよ。
あなたが今そのような状態になっているのは、あなたの性格が悪いからではありません。
幼いころから見捨てられ不安におびえて生きてきて、今なおその心の傷が癒えていないだけのです。
大切な人と心地の良い人間関係を長く続けたいと思ったら、この問題に向き合いましょう。
「見捨てられ不安」に悩まされているそこのあなた。
ぜひ一度、インナーチャイルドケア入門講座へお越しください。
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