きょうだい仲が悪い本当の理由
あなたにごきょうだいはいらっしゃいますか?
ごきょうだいとの関係は良好ですか?
この記事では、「きょうだい仲が悪い本当の理由」について書いてみます。
きょうだい仲が悪い人たち
わたしのお客さまは、「きょうだいとあまり仲が良くない」とおっしゃる方や、「きょうだいと性格が合わない」とおっしゃる方がとても多いです。
おとなになってからもう何年も会っていないという人もいれば、近所に住んでいるからしょっちゅう顔を合わせしまうという人もいますが、適切な距離感を保ってとても良好な関係であるという人はなかなかお見掛けしません。
(逆に、週末のたびに一緒に出掛けるなんているべったりなパターンもありますが、それはそれでいろいろあります。)
同じ血を分けたきょうだいなのに、わたしたちはどうしてこうもいがみあってしまうのでしょう。
上の子の言い分
きょうだいが苦手な理由は多岐にわたりますが、上の子からよく聞く下の子が苦手な理由はこのようなものです。
- 自己中心的でわがまま
- いい歳して親に依存している
- 苦労知らずで甘えてる
- 要領が良くて八方美人
- 家族に対して無責任(親の面倒をみないなど)
- ちゃっかりもらうものはもらう
下の子の言い分
一方で、下の子からよく聞く上の子が苦手な理由はこのようなものです。
- いばっていてえらそう
- 何かとマウントを取りたがる
- 説教臭くてうるさい
- 恩着せがましい
- 思ってることをはっきり言わない
- お金に細かい
上の子は下の子を「わがまま」と言うことが多く、下の子は上の子を「えらそう」と言うことが多いです。あなたのごきょうだいにもあてはまりますか?
※比較的多いのはこのパターンですが、きょうだいの言い分が逆転していることもあります。
きょうだい仲の悪さは人間関係のトラブルを連れてくる
そして、きょうだい仲が悪い人は、ただきょうだいとの関係に悩んでいるわけではなく、必ずと言っていいほど他の人との人間関係にも悩みを抱えています。
- 職場
- 学校
- 友人
- 義家族
- 子ども
あなたも、どこかしらに、何かしらの悩みを抱えているのではないでしょうか?
驚くべきことに、その原因は、おとなになってから出会う人たちのことを軒並み、きょうだいと重ねて見てしまうことにあります。
たとえば、しっかり者で優等生だったお姉ちゃんタイプの人は、甘え上手で要領のいい人に強い嫌悪感を抱きがちです。
職場に甘え上手な後輩がいると、自分でもわけがわからないけどイライラして、「そのくらい自分で考えなさいよ!」とか、「甘えれば許されると思ってる!」などと腹を立てたりします。
そして、姉の優秀さに劣等感を抱きつつ、愛嬌で切り抜けてきた妹タイプの人は、しっかり者で圧のあるタイプが苦手だったりします。
職場でなんでもものをはっきり言うような先輩がいると、「なにもあんな言い方しなくても」とか、「なんであんなにえらそうなのよ」などと不満を感じることになります。
当のご本人たちは、目の前のその人(後輩・先輩)への不満を訴えているのですが、インナーチャイルドの視点で見れば、その人たちに自分のきょうだいの影を重ねて見ているということなのです。
にわかには信じがたいと思いますが、わたしがこれまで何百人というアダルトチルドレンを見てきてはっきりと申し上げられるのは、「きょうだい仲は、その後出会う人との関係におおきく影響を及ぼす」ということです。
うまくいかない相手がきょうだいだけだったら会わなければ済む話かもしれませんが、きょうだい仲が悪い人はこうやって周りにきょうだいと似たタイプの人がいるだけで、心がかき乱されてしまうのです。
そう言われてみれば、あなたの苦手なあの人、どことなくごきょうだいに似てると思いませんか?
きょうだい仲の悪さは子育てにも影響する
そして厄介なことに、きょうだい仲は、自分の子育てにも深く影響します。
可愛い子どもになぜかイライラしてしまう、「上の子かわいくない症候群」「下の子かわいくない症候群」などと言われるものの多くは、ご自身のきょうだい関係が如実に反映されています。
よくあるパターンとしては、
- しっかり者のお姉ちゃんタイプの人が、子どものわがままに腹が立って仕方がない
- 愛嬌で切り抜けてきた妹タイプの人が、子どもの生意気さに腹が立って仕方がない
- 自分と似たタイプの子には感情移入しすぎて過保護になってしまう
- きょうだいに似たタイプの子はどうしても嫌悪してしまう
こんな子育てのお悩みは、どれもこれもきょうだいを子どもに重ねて、心がかき乱されているのです。
こうして、アダルトチルドレンの負の連鎖は起こります。
早いうちにきょうだい関係のインナーチャイルドケアをしっかりとしておかなければ、自分の子どもにも多大な影響を及ぼしてしまうことになるのです。
※アダルトチルドレンの負の連鎖の要因は、きょうだい関係だけではありません。
きょうだい仲が悪い本当の理由
そしてここが、今回最も大切なお話。
あなたがごきょうだいと仲が悪い本当の理由は、相手が「わがまま」だからでも「えらそう」だからでもありません。
きょうだい仲が悪い本当の理由。
それは、あなたにとってきょうだいが「ライバル(敵)」だからです。
無意識かもしれませんが、子どもの頃の関係が尾を引いて、今もお互いをライバル視しているからこそ、仲が悪いのです。
では、どうして幼い頃に、同じ血を分けたきょうだいをライバル視してしまったのか。
それは、「親の愛」という限られたパイを奪い合っていたからです。
親の愛は食べ物によく似ています。子どもにとって、与えられなければ生きていけません。
もし、自分の周りにたくさんのパイ(食料)があって、他の人が食べても十分に残っているとわかれば、慌てることなく落ち着いてゆっくりと食事を堪能できます。
でも、もしパイ(食料)に限りがあって、急いで食べなければ無くなってしまうとしたら、どうでしょう?
生きていくためにどうにかして食べものにありつかなければと、必死になるのではないでしょうか?
周りの人がちゃんと受け取っているかなんて構ってられず、自分がもらうことを最優先に考えるのではないでしょうか?
そして、奪おうとする人を敵視(ライバル視)するのではないでしょうか?
これと同じく、親の愛に限りがある場合、子どもたちはどうにかしてその愛をもらわなければと必死になります。
生きていくためには、本来仲間であるきょうだいとも敵となり、どうにかして親からの愛(注目)を勝ち取らなければと手を尽くすことでしょう。
そうやって、争い合って生きてきたのが、あなたと仲の悪いきょうだいです。
つまり、きょうだい仲が悪い本当の理由は、「生きるために親の愛を奪い合ったから」です。
そして、誤解を恐れずに言えばそれは、奪い合わなくてはならないほどに、親からの愛に限りがあったということができます。(ここについては、あとでちゃんと説明します。)
親からの愛を勝ち取るための手段
きょうだい間の争い方にもいろいろあって、たとえ子どもでも、露骨にいがみ合うばかりとは限りません。
勉強・スポーツ・容姿・お手伝い・お母さんの愚痴聞き・甘え・非行行為・・・
子どもなりにどうすれば親の愛(注目)を受け取ることができるかを考えて、そのことにエネルギーを注ぎ、お互いにマウントを取り合ったりもします。
下の子は、上の子と同じ方法で戦っても勝ち目がないですから、上の子がしっかり者優等生であれば、かわいくて甘え上手な子になりがちです。
それが、上の子は下の子を「わがまま」と言い、下の子は上の子を「えらそう」と言う理由だったりします。
アダルトチルドレンにいろいろなタイプがいるのは、元々の気質もありますが、どのようにすれば親の愛(注目)を集められるかの手段がちがうからなんですね。
アダルトチルドレンの役割は、自分が親の愛(注目)をもらうための生存戦略ということです。
親からの愛が潤沢にあったなら
きょうだい仲が悪い人に話を聞くと、親の愛情不足が原因と自覚できている人は少ないです。
説明のとおり、もし親の愛が潤沢にあり、それをきょうだいで奪い合う必要が無ければ、いがみ合う必要もなかったのですから、怒りの矛先が親に向いても良さそうなものですが、「親は悪くない、悪いのはあくまできょうだいだ」と主張する人がとても多いです。
その奥には、大好きなお母さんを悪く思いたくないという気持ちや、親は自分を愛そうとしてくれていたと思いたい気持ちが潜んでいます。
お母さんは大変な中、精いっぱいわたしたちを育ててくれたのだから、感謝すべき。
お母さんはわたしを十分に愛そうとしてくれていたけれど、きょうだいのせいでそれが受け取れなかっただけ。
お母さんは、きょうだい全員を同じように愛していたが、それを受け取ろうとしなかったきょうだいが悪い。
そんな風に思いたいからこそ、親ではなく、きょうだいを憎んでしまうのです。
みんな健気に、お母さんが大好きがゆえ、きょうだいに怒りの矛先が向かうのです。
そのお気持ちは痛いほどわかりますが、何度もいうとおり、真の問題はきょうだい関係ではなく、親子関係にあります。
理由はどうあれ、親から欲しかった愛を十分に受け取れなかった現実を受け止めなければ、きょうだい仲が改善しないだけでなく、他の人間関係が改善することもないのです。
たとえ時間はかかっても、ここをまっすぐに受け止められるかどうかが、あなたの今後の人間関係を左右するといっても過言ではありません。
そして、親が悪いとはどうしても思えない方のために、親の愛が潤沢になかったのは、ただ親が悪いわけではないということをここから説明します。
愛のコップ
この問題を説明するとき、わたしが良く例えるのがコップの話です。
わたしは、人はみな「親からの愛を入れるコップ」を胸元に抱えて生まれてくると思っています。
そのコップを、いちばん身近なおとな(≒お母さん)からの共感やスキンシップなどの愛で満たしてもらうことが愛着形成です。
愛着形成に成功し、満たされたコップを持って親になる人は、自分の子どものコップに惜しみなく愛を注ぐことができます。
自分が満たしてもらったやり方で、自分の子どもを満たすことができるのです。
ところが、喉が渇いている状態で人に惜しみなく水を分けあたることが難しいのと同じように、自分のコップが愛で満たされていないのに、それを子どもに惜しみなく分け与えようとすると、苦しくなります。
その状態で子育てをしたら、子どもたち全員にあふれんばかりの愛を注ぐことなど、不可能だとわかりますよね。
つまり、親の愛が潤沢に無いということは、ただ親が悪いわけではなく、親自身も何らかの事情でコップに愛情が不足している状態だったと考えられます。
その視点で遡って考えてみれば、きっと思い当たることがあるでしょう。
あなたのきょうだい仲が悪いのは、親の愛が潤沢で無かったことが原因だけれど、親自身もまた親から潤沢ない愛を受け取っていないから注ぎようがない、という連鎖がずっと続いているのです。
これが、ただ親が悪いわけではない理由です。
とはいえ、お子さんがいらっしゃる方が、この状態をこのまま放置すれば、自分だけではなくその子もまた、愛情不足で喉がからからになり、人間関係で苦労することになってしまうのです。
これが子育てにおける負の連鎖です。
自分のコップを自分で満たそう
ここまでの説明でお分かりいただけたとおり、きょうだい仲が悪いのは、相手の性格が悪いからではなく、幼少期に親の愛を奪い合うライバル関係にあったからです。
そして、それは親の愛に限りがあったことが本当の理由ですが、親にも親の事情があって、潤沢な愛を注ぐことが難しかったのです。
では、今のあなたにできることってなんでしょう?
「仕方なかった」と諦めて、人間関係に苦労しながら生きていくことでしょうか?
今から年老いた親に「あのときもらえなかった愛をちょうだい!」と、要求することでしょうか?
きっと、どちらもちがいます。
おとなになったわたしたちは、「自分で自分のコップを満たすこと」ができます。
インナーチャイルドケアを使えば、空っぽだった自分のコップを愛で満たすことができます。
そうすればこれ以上、きょうだいをライバル視して憎んだり恨んだりしなくていいし、きょうだいを重ねて見ていた人間関係の問題もすべて解消されていきます。
子育て中の方は、子どもをありのままに見ることができ、「優しくしたいのに優しくできない」という苦しみから解放されていきます。
インナーチャイルドケアで自分を満たして、代々続く負の連鎖にピリオドを打ちませんか?
きょうだいへのイライラや人間関係の悩みを手放して、楽に楽しく生きてみませんか?
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【まとめ】
●生きづらさを抱える人の中には、きょうだい仲が悪い人が非常に多い。
●上の子は下の子を「わがまま」と言うことが多く、下の子は上の子を「えらそう」と言うことが多い。
●きょうだい仲が悪い人は、他の人間関係にも問題を抱えがち。原因は、おとなになってから出会う人たちのことを軒並み、きょうだいと重ねて見てしまうことにある。
●きょうだい仲は、自分の子育てにも深く影響を及ぼす。「上の子かわいくない症候群」「下の子かわいくない症候群」などの問題も引き起こす。
●きょうだい仲が悪い本当の理由は、幼少期にきょうだいが「ライバル」だったから。
●ライバル視していた理由は、親の愛に限りがあり、生きるために奪い合わざるを得なかったから。
●子どもは、どうすれば親の愛(注目)を受け取ることができるかを考えて、アダルトチルドレンの役割を演じる。
●親ではなくきょうだいを責めたくなるのは、大好きなお母さんを悪く思いたくないという気持ちや、親は自分を愛そうとしてくれていたと思いたい健気な気持ちの表われ。
●親から欲しかった愛を十分に受け取れなかった現実を受け止めなければ、きょうだい仲が改善しないだけでなく、他の人間関係が改善することもない。
●親の愛が潤沢に無いということは、ただ親が悪いわけではなく、親自身も何らかの事情で愛情が不足している状態だったと考えられる。
●おとなになったわたしたちは、インナーチャイルドケアで、自分で自分を満たすことができる。
●自分で自分を満たして、負の連鎖を断ち切り、人間関係の悩みから解放されよう!