マザーテレサが善人で、プーチン大統領が悪人だという考え ~ゲイン・ロス効果~
先日SNSで、マザーテレサについての投稿を見かけました。
マザーテレサと言えばだれもが知る「善人」。
ノーベル平和賞を受賞し、カトリック教会の聖人にも認定されている。
そんなマザーテレサの黒いウワサ。
収益の不適切な管理があったとかなかったとか、医師の治療が必要な人に対して祈るだけで適切な医療を受けさせようとしなかったとかどうとか、、
実はサイコパスだったんじゃないかとかまで言う人もいるらしい。
一方のプーチン大統領。
ロシアのウクライナ侵攻が始まったときには、日本では極悪非道な指導者として、連日ニュースで取り上げられましたね。
そんなプーチン大統領が大の犬好きだというではないか。
トルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領がプーチン大統領のお誕生日のお祝いに犬をプレゼントしたときの話。
ベルディムハメドフ大統領が子犬の首根っこをつかんで持ち上げたのを見たプーチン大統領が、慌てたように歩み寄り、子犬を優しく抱っこした動画が拡散されており、「プーチンが極悪人だとは思えない」「犬好きに悪い人はいない」なんて好意的なコメントが溢れている。
このことを心理学的に「ゲイン・ロス効果」と言ったりします。
「それまで周囲に与えていた印象を、ポジティブまたはネガティブに裏切ることで、より強い印象を相手に与える」ということです。
マーケティングの手法なんかでも使われます。
マザーテレサは「善人」のイメージが強い分、ネガティブな部分を見たときのインパクトが大きいし、プーチン大統領は「悪人」のイメージが強い分、ポジティブな部分を見たときのインパクトが大きいということ。
この心理作用は、わたしたちの周りでも日常茶飯的に起きています。
いつもニコニコして愛想の良い同僚が、飲食店の店員さんに横柄な態度を取っていたのを見て一気に幻滅した。
ひとりで残業していたら、怖そうと思っていた上司に「がんばってるな」と声をかけられ好感度爆上がりした。
なんて具合に。みなさんもお心当たりありませんか?
それで始まる盲目の恋もあれば、崩れてしまう人間関係もあることでしょう。
実は、わたし自身もこの仕事をしていて頻繁に、この体験をすることがあります。
YouTubeやブログで「生きづらい人がどうすれば楽になれるのか」なんて発信しているので、見てくださってる方の中には、わたしに聖人君子のような人格者を期待される方も多いです。
どんな人にも無償で手を差し伸べて、子どもにも絶えず笑顔で接している人みたいな。
そんなわけあるかいな。
一方的に奪い取ろうとする人は容赦なくお断りだし、今朝だって息子に「靴下脱ぎっぱなしにしないで洗濯かごに入れなさいよ!」と一喝したばかりです。
レジの列に横入りされればイラっとくるし、やたら車間距離の近い車にはミラー越しに渋い顔します。
がっかりしてもいいけれど、がっかりされても困ります。笑
わたしがこの話を通じて何をお伝えしたいかというと、「人間には100%の善人も100%の悪人もいない」ということ。
真っ白な人も真っ黒な人もいない。
長所しかない人も短所しかない人もいない。
完璧にできる人も完全にできない人もいない。
先天的な脳の特性や後天的な生育環境によって、白寄りな人もいれば黒寄りな人もいるけれど、一点の濁りもなく純粋な黒と白なんて、この世に存在しないんです。
マザーテレサだってプーチン大統領だって、いいとこもあれば悪いところもあるんです。
そんな当たり前のことわかってるはずなのに、わたしたちは勝手に脳内でイメージを作り上げて、それに合うか合わないかで、必要以上に人を叩いたり称賛したりする。
断片的な情報だけで、他人のことを「いい人」だとか「悪い人」だとか評する。
SNSはその象徴的な世界だなぁと思うのです。
もちろん見せる側も、過剰にいい人ぶったり悪人ぶったりして印象操作をすることは避けた方がいいとは思うけれど、見る側も「色眼鏡で見ていないか」ということに十分注意を払う必要があると思います。不確かな情報に溢れている今は特に。
あなたもわたしもあの人も、みんな白黒混ざったグレーな生き物。
周りにいい人見られようと必死なあなたにだって、嫌なところ、せこいところ、ずるいところあるでしょう。
あの人のこと、ケチだとか、怠慢だとか、バカだとか言ってるけど、自分だって大差ないでしょう。
同じホモサピエンス同士なんだから、ちがうと言ってもさして変わらない。
みんな子どもだったし、みんな可愛かった。みんな年取るし、みんな死んでいく。
その前提で人と関われば、相手の言動にいちいち気持ちが振り乱されることも減るんじゃないでしょうか。