インナーチャイルドケアは孤独なのか
自分で自分のケアをすることは孤独なのか。
この記事は本講座の卒業生さんに向けて書きました。
これからご受講される方も、ぜひ参考にしてください。
インナーチャイルドケア講座(通称、本講座)を卒業されるとき、多くの人は「ここからがわたしの本当の人生だ!何があってもインナーチャイルドと一緒に生きていくんだ!やりたいことをやって人生を謳歌するぞ!」とジャンヌ・ダルクのようなたくましさで巣立って行きます。
でも、しばらくすると、こんな疑問にぶつかるようです。
「誰かを頼ることはいけないことなのだろうか?」
たしかに、インナーチャイルドケアメソッドの目的は、「自分で自分を癒せる人になること」です。
「自分のことを100%わかってあげられるのは自分しかいないのだから、他の人にわかってもらうことを期待するのではなく、自分で自分をわかってあげようよ」ということを繰り返しお伝えしていますね。
この教えを忠実に守ってこられた人ほど、卒業すると「誰かに頼る=悪いこと」という気持ちになるようです。
そして、「森さん、相談に乗ってほしいことがあるんですけど、甘えていいでしょうか・・・?」なんて申し訳なさそうにこそっとご連絡をいただいたりするんです。
というわけで、取り方をまちがえると孤独なメソッドにもなりかねない、インナーチャイルドケア。
卒業後自分の気持ちにどように向き合っていったら良いのでしょう。
依存と自立
インナーチャイルドケアの視点から「自立」を説明すると、自分がインナーマザー(母)となりインナーチャイルドの子育てをするということでしたね。
できごとから沸きあがる自分の感情をつぶさに捉えて、癒しを施すことがことができると、インナーチャイルド(潜在意識)が穏やかになっていくのです。
そうすると、人に「わかってほしい」「認めてほしい」という苦しい欲求から解放されて、自立したおとなになれるというわけです。
「自立」の対義語はもちろん「依存」で、自分がインナーチャイルドと同化し、誰かに癒しを求めることです。
依存的な人は、「自分のすべてをわかってほしい」「自分のすべてを受け入れてほしい」と自分の母親代わりになる人を外に求め続けます。
だけど前述のとおり、自分のことを100%理解し、愛してくれる人などこの世に存在しないですから、この欲求は永遠に満たされることはないわけです。
残念ながら現代では、ほとんどの人が母親代わりに自分を満たしてくれる人を求め生きているアダルトチルドレンなので、人間関係の問題や争いが絶えず、悩みは尽きないのです。
だからこそわたしは、自分で自分をケアできる人(自立したおとな)をひとりでも多く増やしたくて、このインナーチャイルドケアメソッドを作りました。
「人に頼ること=依存」ではない
このメソッドの主旨を理解し共感してくださる方ほど、冒頭で書いた「誰かを頼ることはいけないことなのだろうか?」の疑問にぶつかります。
「わたしはもうインナーチャイルドケアをマスターしたのだから、いつだって自分で自分のケアをできるハズ。人に依存してはいけない」と自分を戒めてしまうのです。
でも、人に頼ることと依存はイコールではありません。
このことをイメージでお伝えするならば、子育て中のママ友さんがわかりやすいと思います。
子育てをする中で、わからないことや不安なことが出てきたら、周りのママ友や先輩ママに相談したりすることってありますよね。
インナーチャイルドケアもそれと同じで、行き詰ったときに周りの人に相談するのは、何も恥ずかしいことではありません。
三人寄れば文殊の知恵で、いろんな角度からものごとを捉えた方が、解決策が見えやすいのです。
だから必要を感じていただけたなら、遠慮なくわたしを頼ってほしいし、発信をしている卒業生さんのブログ記事などを参考にしていただきたいのです。もちろん他の人でもいい。
だけど、そのときに忘れずにいてほしいのは、あくまで自分のインナーチャイルドを育てるのは自分だということ。
現実世界でママ友さんに「うちの子代わりに育ててくれない?」なんて頼みませんよね。
インナーチャイルドケアするのは自分だけれど、そのやり方を周りの人に聞いてみる、息抜きに付き合ってもらうという感覚です。
この意識さえ忘れなければ、たまには誰かに助けを求めたっていいし、愚痴ったりしてもいいんです。
子育てだったら自分ひとりで抱え込まずに「もっと人に頼っていい」「困ったらSOSを出していい」ってわかるのに、インナーチャイルドケアになると途端にこのことがわからなくなってしまうのは、潜在意識と顕在意識の境界が、親子関係の境界以上にあいまいだからなんですよね。
もう一度しっかりとマインドセットしてみましょう。
共同体感覚
心理学の三大巨匠のひとりアルフレッドアドラーの教えを元に書かれた「嫌われる勇気」という超有名な本はみなさんご存じですね。
この本の中で、対人関係の「ゴール」は「共同体感覚」だと書かれています。
具体的には、
他者を仲間だとみなし、そこに「自分の居場所がある」と感じられることを、共同体感覚といいます。
嫌われる勇気
だそうです。
自分と他者の関係を「課題の分離」することがスタートで、周りの人と「仲間」になることがゴールだというのです。
この一見矛盾した話は、インナーチャイルドケアの本質を思い出せば合点がいきます。
まずは、自分の中にインナーマザーを確立し、自立すること。
そして、自立したもの同士がママ友として互いに手を携え助け合うこと。これが共同体感覚です。
つまりわたしたちは、依存でなく共同体感覚で助け合うことができるのです。
それは、相手を「師」でも「敵」でもなく、「仲間」だとみなしたことで成立する関係です。
もちろん、わたしはインナーチャイルドケアメソッドの考案者であり、このメソッドのことを誰よりも知り尽くしていますから、これにおいてはわたしはアドバイスする立場になりますが、それ以外のことについてはみなさんの方がよほど知識もスキルもあって、助けていただきたいことばかりです。
事実、わたしはビジネス面ではコンサルティングを受ける側ですし、苦手なイラストを外注したりもしています。車の運転は夫に任せきりですし、今日が何曜日かを毎日息子に質問しています。
みんなお互いが支え合いながら、なんらかの「他者貢献」をして、共同体に属しているのです。
他者貢献のハードルをあげないで
「他者貢献」と聞くや否や、身を縮こまらせて「わたしは何にもできないから」とおっしゃる人がいます。
でも、これは目の前のちいさな共同体に貢献することばかりを考えているからです。
視野を広げて考えてみてください。
みなさんは、わたしの講座を受けたときにわたしに対価を支払ってくださっていますね。
わたしはその対価で、新しい書籍を買い、セミナーに参加し、心の学びを進めることができます。
コンサルティングを受け、営業活動をし、新規のお客さまと出会うことができます。
ときには、家族とおいしいものを食べたり、好きなものを買うこともあります。
すると、スキルアップしたり、今までご縁の無かったお客さまと繋がれたり、リフレッシュしてより質のいいサービスをご提供できるようになったりします。
また、みなさんは講座が終わるときに感想を書いてくださいましたね。
その感想の一部はブログ記事などでご紹介させていただいています。
その記事を読んだ別の方が、わたしにもインナーチャイルドケアが必要なのかもしれないと気づくきっかけを与えてくださっています。
こうやって間接的に、知らず知らずのうちに、わたしの、そして知らないどこかの誰かの役に立ってくださっているのです。顔も名前も知らなくても、みなさんはこの世界のどこかの誰かと必ず繋がっていて、共同体なのです。
講座を受けていない人も、食料や日用品を買わない人はいないでしょう。
そのとき支払った対価は、店舗で働く人、物流関係で働く人、工場や農家で働く人などの役に立っています。
それはお金に限らず、笑顔やあいさつ、お礼や優しい言葉、お花にあげる水や肥料、祈りの気持ち、ひいてはそこにあなたがいることそのものも他者貢献です。
にわかには信じがたいでしょうが、愛から生まれるすべてがエネルギーの循環で、他者貢献なのです。
「嫌われる勇気」の中ではこのことを、
「わたしは誰かの役に立っている」と思えること。他者から「よい」と評価されるのではなく、自らの主観によって「わたしは他者に貢献できている」と思えること。そこではじめて、われわれは自らの価値を実感することができるのです。
嫌われる勇気
としています。
大事なのは、実際に貢献できているかどうかではなく、「貢献できている」と感じる主観的な感覚だといっています。
それを実感するために、視野を広げてみてください。
誰にも感謝されなくても、ゴミを拾った自分、お皿を洗った自分を、自分でちゃんと見ていてあげてください。
そして、どんなに孤独を感じても、必ずどこかの誰かと繋がっていて、共同体に属していることを忘れすにいてください。
あなたは今日も必ずどこかの誰かと繋がっていて、貢献しています。
インナーチャイルドケアは孤独なメソッドではない
というわけで、インナーチャイルドケアは、決して孤独に向かうメソッドではなく、逆に仲間と繋がれる一体感(共同体感覚)のメソッドです。
自立をするからこそ、他者と縦ではなく横の関係でつながることができ、それぞれが他者貢献しながら助け合って生きていくためのメソッドです。
「インナーチャイルドケアを習得したから、この先もぜんぶひとりで解決していかなくてはいけない」なんて気負わずに、行き詰ったら「ねぇ、最近うちの子こんなこと言いだしてさ、困ってるのよ」なんて気軽に相談に来てください。
インナーチャイルドケアにおいては、わたしはみなさんよりもほんの少し先輩ですから、何かお伝えできることがあるかもしれないと思いますし、そのようにさせていただけることがわたしの他者貢献の主観的な実感になり、この仕事を続ける励みになるのです。
もちろん、わたしはみなさんのインナーチャイルドのお世話はしませんので、悪しからず。
【まとめ】
●人に頼ることと依存はイコールではない。インナーチャイルドケアするのは自分自身だということを忘れなければ、他者に頼ってもOK。
●対人関係のゴールは「共同体感覚」。自立したもの同士が互いに支え合うこと。
●共同体感覚は、相手を「師」でも「敵」でもなく、「仲間」だとみなすことで成立する。
●他者貢献を考えるとき、目の前のちいさな共同体にこだわらない。視野を広げて、自分が共同体に属し貢献していることに気づこう。
●お金を生み出したり支払うことだけが他者貢献ではない。愛から生まれるすべてがエネルギーの循環で、他者貢献である。
●他者貢献の重要ポイントは、実際に貢献できているかどうかではなく、「貢献できている」と感じる主観的な感覚。
●主観的な感覚を得られることで、自分の価値がわかるようになる。
●インナーチャイルドケアは、孤独なメソッドではない。自立をするからこそ、他者と縦ではなく横の関係でつながることができ、それぞれが他者貢献しながら助け合って生きていくためのメソッドである。