「社会的参照」をご存じでしょうか? 〜親の表情が子どもの無意識に刻まれる〜
ICCM Newsletter – by Yoko Mori
Letters on Inner Child Care Method®
この記事について
※この記事はメールマガジン「インナーチャイルドケア通信」で配信した内容を掲載したものです。
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「社会的参照」とは
「社会的参照」という言葉をご存じでしょうか?
これは、発達心理学の概念のひとつです。
子どもが、判断に迷う場面(たとえば、知らない人や見なれないもの)に遭遇したときに、
信頼する養育者の表情や態度を手掛かりにして、自分の行動や感情を決めるというものです。
このことを裏付ける有名な実験に、
1歳前後の赤ちゃんを対象にした、「ビジュアルクリフ」という実験があります。
透明な強化ガラスの床の下に、崖(クリフ)があるように見える仕掛けを用意します。
赤ちゃんは、その崖の手前まで来ると、動きを止めて、崖の向こう側にいるお母さんの様子をうかがいます。
このとき、
お母さんが笑顔を向ければ、赤ちゃんはそのまま進んでいくことが多く、
逆に、お母さんが怖がる表情を見せると、進むのをやめてしまいがちになる。
そんな結果が報告されています。
つまり、
子どもは、信頼するおとな(≒お母さん)の様子を見て、
その場が「安全」か「危険」かを読み取り、自分の行動を決めているということなのです。
これが「社会的参照」です。
子どもは無意識に学習している
ということは、です。
もしも、近所の人に会うときに、
お母さんの表情がいつもこわばっていれば、
「近所の人たちは怖いから、あまり近づかない方がいい」
と学習するかもしれませんし、
特定の親戚の人の名前が出るたびに、
お母さんがイヤそうな顔をしていれば、
「ああいう人は、嫌な人なんだ」
と学習するかもしれません。
わざわざ、
「あの人は怖い人なのよ」とか、「○○さんが意地悪でね」なんて吹き込まなくても、
子どもはお母さんの表情などから、ちゃんと読み取って学習してしまうということなんですよね。(責任重大・・・)
大人になっても続く無意識の反応
そして、さらに厄介なことに、
子ども時代にそうした余計な学習データを積み重ねてしまうと、
わたしたちは、おとなになってからもその影響を引きずることになるのです。
あなたは、まだほとんど話したこともないのに、
「この人、なんとなく苦手だな」と感じたり、
別に直接何か言われたわけでもないのに、
「この人わたしのこと嫌ってる?」と勘ぐってしまうこと、ありませんか?
そういうなんとなくの苦手意識みたいなものは、
子ども時代から積み上げた学習データが、自分でも気づかないうちに反応していたりするのです。
わたしのお客さまでも、対人関係に苦手意識が強い人ほど、
無意識の思い込みをたくさんお持ちで、
そのぶん、人生がややこしく、ハードモードになってしまっている印象です。
学習データを手放すために必要なこと
では、
そうやって無意識のうちに溜め込んでしまった学習データを、
いったいどうやって手放していけばいいのか。
わたしの考えでは、
いちばん大切なのは、反応してしまう自分を、無理に直そうとしないことです。
「気にしなくていい」「考えすぎだ」などと、
自分の感じ方を無理に矯正しようとすればするほど、
インナーチャイルドが抵抗し、かえって学習データを握りしめる力を強めてしまいます。
「この学習データはもう手放してもいいものなんだ」と、
インナーチャイルドが心の底から納得して前に進むためには、
あなた自身が、崖の向こうにいる「信頼できる存在」でなければなりません。
だから、
対人関係に苦手意識があっても、まずはそのことを否定せずに、感じたままに受け入れてみましょう。
「あの人がイヤだって感じるんだね。」
「あの人が怖いって思うんだね。」
ありのままの気持ちを自分で受け止める。
それが、インナーチャイルドケアの最初の一歩です。
今日のまとめ
・子どもは信頼するおとなの表情や態度から「安全」か「危険」かを読み取る(社会的参照)。
・子ども時代に無意識に学習したデータは、大人になってからも対人関係に影響を与え続ける。
・学習データを手放すには、反応してしまう自分を否定せず受け入れることが第一歩。